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韓国の最低賃金がOECD最上位圏? 韓国経営者総協会 のでたらめな分析

登録:2019-05-15 21:50 修正:2019-05-16 06:52
中位・平均賃金未確定国家の統計を推定
カナダ・スペインなど急騰して推定困難
集計基準差を考慮しない比較も
韓国経営者総協会ソン・ギョンシク会長//ハンギョレ新聞社

 韓国経営者総協会(経総、会長ソン・ギョンシク)が、各国の未確定賃金統計を“推定”するなど、誤った調査方法を基に「韓国の最低賃金が経済協力開発機構(OECD)国家の中で最上位圏にある」という“でたらめ”な分析結果を出した。 今年最低賃金を急激に引き上げたカナダ・スペインの賃金水準などを反映させず、また賃金統計の方法が異なる国家まで無作為に含めて比較したものだ。これはデータの誤謬など誤った分析を基に同様な主張を打ち出した全国経済人連合会(全経連、会長ホ・チャンス)に続いて、経総までが無理な主張に出たもので、2020年の最低賃金決定の時期が近づくとともに財界団体による歪曲が強まっている形だ。

 経総は12日、「韓国とOECD国家の最低賃金水準国際比較」という資料を出し、2019年の韓国の中位賃金に比べた最低賃金水準は64.5%、平均賃金に比べた最低賃金は50.3%で、それぞれOECD国家のうち6位、4位であり、OECD平均は54.7%、43.4%であるとした。「最低賃金額」ではなく「相対的最低賃金水準」で国際比較をしてみたら、韓国が平均を越えて最上位圏だというものだ。経総は「国際競争力向上の次元から、最低賃金が中位比60%を越えないようにすべきだ」とし、事実上最低賃金を凍結させることを主張した。

 だが、2019年の相対的最低賃金水準の国際比較というのは物理的に不可能だ。 OECD各国の中位・平均賃金価格は、まだ確定発表されていない。 経総は必要な数値がなくて「2013~2017年の最近5年間の各国中位・平均賃金の平均上昇率を適用して推定した」と明らかにした。しかし、2019年に最低賃金をそれぞれ12.6%、22.3%引き上げたカナダとスペインなど、最近最低賃金を急激に引き上げた国家は、中位・平均賃金も当然増えるわけで、経総の「推定国際比較」は現実と異ならざるを得ない。韓国労働社会研究所のキム・ユソン理事長は「2018~2019年の各国賃金統計は誰にも分からない領域だ」として「2018年の韓国平均賃金も例年より大幅に上昇したが、統計が出るまで誰も予想できなかった」と指摘した。

 平均・中位賃金に比べた最低賃金の国際比較の根本的な限界もまた考慮すべきだという指摘も出ている。 韓国がOECDに報告する賃金統計は、政府が1人以上の事業体の“フルタイム”(非正規職を含む)労働者を対象に調査した雇用形態別労働実態調査結果だ。一方、日本は5人以上の事業体を、欧州連合は10人以上の事業体を調査した値を報告する。 日本や欧州連合の基準に従えば、韓国の平均・中位対比最低賃金比率はさらに低くならざるを得ない。

 経総と全経連は「OECD最上位圏」「OECD28カ国」という表現を使って韓国の賃金水準を上位圏と説明しているが、実際にはOECD加盟国は35カ国であるという点も重要だ。 そもそも賃金水準が高い上に労使団体協約により決める最低賃金水準も高く、法定最低賃金制度自体のないデンマーク・フィンランド・スウェーデン・ノルウェー・スイスなど7カ国を含めれば、韓国の順位はさらに低くなる。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/893604.html韓国語原文入力: 2019-05-12 19:35
訳A.K

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