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「就業増加幅の急減は人口が減ったため」韓国金融研究院が報告

登録:2018-10-22 09:42 修正:2018-10-22 17:01
「人口の構造の変化が就業者数に及ぼす影響と示唆点」報告書 
「2016・2017年にも人口減少したが、中国人観光客の増加や 
不動産景気など特殊要因により人口変化の影響が実感できず」 
今年遅まきながら統計に反映...増加幅が大幅下落
今年8月19日、国会で開かれた雇用状況に関する政府与党間会議=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 今年の就業者数の増加幅が急減したのは、この3年間で20~59歳の人口が減ったしたことが遅まきながら雇用統計に反映された結果だという分析が出た。2016年と2017年は、中国人観光客の特需などでこの年代の就業者数が例外的に増えたことによるベース効果が反映されたものであり、今年の雇用状況が人口構造の変化と就業者数の長期的な関係から大きく外れてはいないという説明だ。

 21日に韓国金融研究院が発表した報告書「人口構造の変化が就業者数に及ぼす影響と示唆点」によると、今年2月から就業者数の増加幅が10万台を下回っているが、これは20~59歳の就業者数と密接な関連性があると分析した。15~19歳と60歳以上の就業者数は、例年に比べるとさほど変わっていないためだ。今年2~6月の月別就業者数は7万2千~12万4千人増にとどまり、特に7月と8月には増加幅がそれぞれ5千人・3千人と急減した。

20~59歳の人口および就業者数の増減(単位:人)//ハンギョレ新聞社

 報告書によると、2000年以降20~59歳の就業者数はこの年代の人口と密接に連動してきた。この年代の人口が2000年~2015年で約380万人増加する間、就業者数も約380万人増えている。就業者数が人口推移を多少上回ったり下回ったりもしたが、全般的には似たようなパターンを描いてきた。20~59歳の人口は、2015年にピークに達した後、2016年と昨年はそれぞれ3万8千人、2万6千人が減り、今年は11万1000人と減少幅がさらに大きくなった。報告書を作成した金融研究院のソン・ミンギ研究委員は「今年の就業者数が減少したのは、この20年間実証的に成立してきた人口-就業者数間の相関関係が持続する現象と解釈できる」と説明した。

 特に、今年1~9月の就業者数の減少幅が大きかった30代と40代の場合、人口の変化の影響が目立った。5歳単位で分析すると、人口が減少している30~34歳と40~44歳では就業者数が減ったのに対し、人口が増加した35~39歳は就業者数が増えた。同報告書は「比較的同質的で隣接した年齢層の間で相反する現象が現れる原因は、結局、各年齢層の人口の変化によるものという蓋然性がある」と説明した。

 報告書は、2016年と昨年の雇用状況を人口構造では説明できない例外的な現象と見ている。20~59歳の人口は2015年に減少傾向に転じたが、この年代の就業者数は2016年に1万人増加したのに続き、昨年は7万1000人まで増えた。報告書は「中国人観光客の増加と不動産景気など特殊要因により、卸売り・小売業、宿泊および飲食店業、不動産業など一部産業で就業者数が人口変動を相殺するほど大幅に増加したことによる」と説明した。これは結局、この2年間例外的な理由で引き延ばされた人口減少による就業者数の増加幅縮小の調整が一気に行われ、今年の就業者数の増加幅が急減した可能性があるということだ。

 これに先立ち、7月に統計庁でも就業者数の増加幅が鈍化したことを人口構造の変化で説明している。昨年から生産可能人口(15~64歳)の減少が始まったが、今年は減少幅が4万6000人に増え、雇用率(66.6%)が維持されても就業者数の増加幅は縮小せざるを得ないということだ。今後少子高齢化現象が続き、ベビーブーム世代(1955~1963年生まれ)が次々と高齢者人口に合流し、こうした現象はさらに深刻化すると統計庁は見通した。統計庁は就業者数の増加幅ではなく、雇用率を活用すべきだと提言したが、雇用率も人口構造の変化の影響を受け、雇用状況を正確に判断するには限界があると報告書は指摘する。今年9月の20~59歳の雇用率は72.9%で、2000年以降の最高水準だが、肌で感じる雇用環境はそうではないというのが代表的な例だ。ソン研究委員は「人口構造の変化は雇用指標の推移に広範囲に影響を及ぼすため、これを考慮した代案的な雇用指標が必要だ」と提言した。

チョン・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/866758.html韓国語原文入力:2018-10-2207:59
訳M.C

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