チャン・ハソン大統領府政策室長とキム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官の対立が浮き彫りなったことについて、大統領府が「政府政策を率いるツートップとして目的地は同じだ」とし、積極的に鎮火に乗り出したが、キム副首相は「政策の優先順位で調整が必要だ」と明らかにし、微妙な波紋が続いている。特にキム副首相は「政策修正を検討しうる政策」として「労働時間短縮」を挙げ、今後国会で議論する余地があることを示唆した。
21日、大統領府の高位関係者は記者団に、チャン室長とキム副首相間の足並みの乱れがあるという評価に関して「大統領とキム副首相、チャン室長が一緒に討論する時も、観点の違いは明らかになる。政府政策を率いる人皆が最初から最後まで同じ観点を持つわけにはいかないのではないか」とし、「対立というフレームに閉じこめられると、政策推進の力を得ることは難しい」という大統領府の懸念を伝えた。さらに彼は「(二人の間の)意見の相違を政府が十分に受けとめられると見て、(経済政策を)二人に任せている」とし、「成長戦略においては革新成長が重要なため、キム副首相がこれを主導し、哲学的側面ではチャン室長が担当してきた」と付け加えた。
同日、キム副首相は国会企画財政委員会の全体会議で「(チャン室長と)基本的に大きな社会的認識、そして問題の原因に対する診断、今後進むべき方向については見解が一致する」と述べながらも、「具体的には、市場との疎通や政策の優先順位と強調点において、調整が必要な部分がある」と明らかにした。さらに彼は正しい未来党のキム・ソンシク議員と自由韓国党のチュ・ギョンホ議員が「(チャン室長が言ったように)年末に雇用は回復するのか」と聞くと、「雇用は複合的な問題であり、短期間で可視的成果が出るのは難しい」とし、迂回的に同意しないという考えをほのめかした。また、彼は「政策室長は(大統領府の)スタッフ」だとし、「雇用状況に対する責任は全面的に私が負わなければならない」と言及して、本人が経済政策のコントロールタワーであることを強調した。
この日、キム副首相は19日の緊急与党・政府・大統領府会議で「必要な場合には(経済政策の)改善または修正を検討する」という発言と関連して、「例えば労働時間短縮を伸縮的に行うことは、十分に国会と議論して改善できる候補」だと答えた。これに先立って政府は7月に週52時間勤務制を施行し、法規違反に対する取り締まりと処罰を6カ月間猶予している。彼は最低賃金の引き上げと関連しても「さまざまな市場の受け入れの問題、また韓国社会のセーフティーネットの不備、自営業者が全体就業者数の21%にのぼるという点を考慮し、(市場)適応性を高める方向で進めていく」と付け加えた。経済状況を考慮し、速度調整に乗り出す可能性があるという意味と解釈される。
これに対し、与党は国会が弾力的労働時間制の拡大を約束したことを受けた原論的な発言だとし、拡大解釈を警戒した。労働時間短縮を行うために2月に労働基準法が国会で可決され、2022年12月31日まで弾力的労働時間制の単位期間の拡大など、制度改善をすることにした付則条項を確認した水準ということだ。共に民主党のホン・ヨンピョ院内代表はこの日、ハンギョレとの電話インタビューで「自由韓国党はその当時、弾力労働期間を現行3カ月から1年に増やそうとし、6カ月ぐらい拡大しようというのが民主党の立場」だとし、「最近の与党・政府・大統領府会議などでこの問題を別途に論議したことはない」と話した。
大統領府の高位関係者は「所得主導成長の大きな枠組みは変わらないが、政策的手段が有効かどうかは引き続き注視する。政策の修正は常に開かれた心で見ている」とし、政策のツートップが互いに異なる意見を出しているわけではないという点を遠回しに強調した。