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さらに悪化した雇用…キム副首相「最低賃金など速度調節、党・大統領府と協議」

登録:2018-09-13 09:34 修正:2018-09-13 14:51
先月の就業者増加、3千人にとどまり  
最低賃金の決定制度の改善を推進  
弾力労働制、3カ月→6カ月を検討 
「拙速な政策修正は適切でない」
月別就業者数の増減(前年同月比)(単位:人)。カッコ内は雇用率の変動(%ポイント、15~64歳基準)=資料:統計庁//ハンギョレ新聞社

 キム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官は12日、「弾力的労働時間制(弾力労働制)の単位期間調整、最低賃金の引き上げ速度調節などに対する合理的な代案を作るため、党・大統領府との協議を開始する」と明らかにした。7月に続き、8月も2カ月連続で就業者数の増加幅が1万人を割ると、政策的要因(最低賃金の引き上げ、労働時間短縮)が雇用低迷に影響を及ぼしていると見て修正・補完する意思を明らかにしたのだ。今年に続き、来年の最低賃金引上げ率も二桁台に決定しているが、2020年以降は引き上げ幅が相対的に緩くなるというシグナルを市場に送ったものと思われ、波紋が予想される。

 キム副首相はこの日、政府ソウル庁舎で開かれた第16回経済関係長官会議で「雇用率が6月以降減少する様子を見せ、気が重い」とし、「企業・市場で一つでも多く雇用を作り出すよう、これまで推進してきた政策を再点検することが必要であり、特に弾力労働制の単位期間の調整、最低賃金の引き上げ速度調節など、市場で提起され続けているイシューについて合理的な代案を作っていく」と明らかにした。当初、政府はこの日革新成長関係長官会議を開く予定だったが、雇用指標が悪化したため緊急に経済関係長官会議を招集した。

 統計庁がこの日発表した「8月雇用動向」によれば、昨年第2四半期に10万人増加した就職者数は、7月の5千人に続き、8月には3千人増にとどまった。世界金融危機の影響が残っていた2010年1月以来、最も低い数値だ。キム副首相のこの日の発言は、深刻な雇用低迷の原因と政策的代案を講じなければならないという意志と解釈される。

 最低賃金と関連し、キム副首相は「来年の(最低賃金の)引き上げ率は決定されたもので不可逆的」だとし、「最低賃金問題はいわゆる『アナウンスメント・エフェクト』(公表効果)が大きいため、最低賃金の決定制度自体に対する改善を通じて市場と企業に予測可能なメッセージを与えうる」と話した。すでに決定した来年の最低賃金の引き上げ率(10.9%)に手をつけるのではなく、最低賃金の決定構造の改善、業種別・規模別差等適用など、利害関係者が提起したさまざまな争点を幅広く議論するという意味だと企財部は説明した。イ・チャヌ企画財政部次官補は「具体的な方向性はなく、市場と企業から出てくる各種の話を総合的に検討している」と述べた。ただし、キム・ワン雇用労働部労働基準局長は、最低賃金の決定構造を変えたり業種別に差等適用する問題に関しては「すでに最低賃金委員会が多数意見で望ましくないという結論を下した」とし、「議論するのと正すのは別の問題」と線を引いた。

 キム副首相はまた、週52時間超過勤務を禁止する労働時間短縮の施行に関しても「弾力労働制の単位期間」を3カ月から6カ月に延ばす方策を議論しうると明らかにした。これまで経営界は、弾力労働制の単位期間を延ばし、対象業種も拡大することを要求してきた。自由韓国党は弾力労働制の単位期間を現行の3カ月から1年に延ばそうという立場であり、共に民主党は党論を決めていない状態だ。雇用部側は「2月の労働基準法の改正当時、国会が弾力労働制の単位期間の拡大のため付則条項を入れた。これによって実態調査を実施し改善策を設けた後、国会の論議に積極的に参加する」と明らかにした。

 与党はキム副首相の発言について「理解できる内容」だとし、党・政・大統領府が緊密に協議すると明らかにした。民主党のホン・ヨンピョ院内代表はこの日「人件費が売上の30~40%を占める組立・縫製産業が最低賃金の引き上げにより直撃を受けているのは事実だ。中小企業の社長など最低賃金の引き上げを心配する方たちを慰労する内容だと理解する」と述べた。弾力的労働制の単位期間を延ばす問題については「延ばすことに原則的に反対はしないが、労使間に激しい意見の違いがあるので、社会的対話を通じて決定するのが望ましい」と話した。大統領府関係者は「大統領もすでに最低賃金(引き上げ)速度調節を述べており、(最低賃金1万ウォン)公約を守れなくなったと謝罪もした」とし、「最低賃金(引き上げ)速度調節と関連して、副首相と充分に協議する」と話した。

 専門家らは、政府が雇用低迷の原因分析をもっと精巧にする必要があり、政策の修正にも慎重を期すべきだと指摘している。韓国労働研究院のソン・ジェミン動向分析室長は「自営業が困難を負っている原因は、結局費用問題なのに、最低賃金の引き上げによる雇用安定資金を来年も不足なきよう支援するという考えの代わりに速度調節から持ち出すのは適切ではない」とし、「最低賃金の引き上げが雇用に及ぼした影響はまだ判断するには早く、修正や補完をするためにはもっと精巧な分析が必要だ」と話した。さらにソン室長は「労働時間短縮も、300人以上の事業場に優先適用されており、最近の就業者数は零細自営業者や臨時・日雇いなどで減っている。両事案を直接連結して政策を修正するのは拙速な判断だ」と付け加えた。

チョン・ウンジュ、イ・ジヘ、キム・テギュ、キム・ボヒョプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/861841.html韓国語原文入力:2018-09-12 22:51
訳M.C

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