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「下位層所得の減少幅史上最大」統計庁発表は不正確

登録:2018-07-16 23:07 修正:2018-07-17 16:41
労働研・保健社会研、大統領府に報告書 
標本4千個→6千個に増やし 
所得の低い単身・高齢者世帯を大幅追加 
「所得主導成長の失敗断定は性急」指摘 
昨年調査と同一世帯で比較すれば 
それぞれ0.5%減少・1.9%増加に変わる 
統計庁「第1四半期発表時に説明不足」
標本差異による2018年第1四半期の世帯所得増減率(前年同期比)比較//ハンギョレ新聞社

 全世帯のうち所得が最も少ない下位20%の所得が、前年同期に比べ8%も大幅に減ったという統計庁の今年第1四半期家計動向調査の結果発表は不正確だという指摘が盛り込まれた国策研究機関の報告書が大統領府に提出された。5月末、統計庁の発表後に相次いだ文在寅(ムン・ジェイン)政府の最低賃金引き上げと所得主導成長政策が失敗したという批判は性急だったとの指摘だ。

 労働研究院と保健社会研究院が共同で7月初めに大統領府に提出した「2018年第1四半期家計動向調査検討」報告書によれば、統計庁が調査した標本世帯は計6610個(応答基準)で、このうち2703個(40.8%)は昨年調査と同一だが、残りの3907個(59.2%)は新たに追加されたものだった。統計庁の標本交替はこれまでも継続的になされてきたが、今年は交替幅が異例に大きく、新たに追加された標本には所得の低い世帯が相対的に多く含まれていたため問題が発生した。

 報告書は「最下位所得10%における追加標本の比率は71.8%で、他の所得分位での追加標本の比率(50%台)よりはるかに高い」とし、「これは追加標本に所得の非常に低い1分位世帯が多く含まれたため」と分析した。これによって全世帯の所得増加率が実際より少ないように見え、特に最下位分位の所得は大幅に減ったように見える一種の“錯覚現象”が現れた。

 報告書は「統計庁の調査分析に基づけば、全世帯の平均所得(名目基準・単身世帯を含む)が前年同期比で2%の増加に終わるが、昨年の調査時と同じ世帯だけで比較すれば、増加率は4倍近い7.8%に達する」と指摘した。また「統計庁の調査分析に基づけば、所得が少ない下位10%と下位10~20%世帯の所得は、前年同期比でそれぞれ16.1%、13.2%と大幅に減少したことになっているが、昨年の調査時と同じ世帯だけで比較すれば、下位10%は0.5%の減少に終わり、下位10~20%所得は逆に1.9%増加した」と指摘した。

 こうした差異は、文在寅(ムン・ジェイン)政府の最低賃金引き上げおよび所得主導成長に対する評価と今後の政策方向に大きな影響を及ぼすという点で注目される。統計庁は5月末当時、所得下位20%世帯(2人以上世帯)の所得が前年対比で8%減り、2003年の統計作成開始以後で減少幅が最も大きく、上位20%階層との格差を示す5分位倍率も歴代最高値の5.9倍に広がったと発表した。労働研究院はこれと関連して「統計庁の調査分析を再検討すると、平均世帯所得増加率が大幅に高まり、最下位所得集団の所得が大きくは減少していないことが明らかになる」とし、「分配が悪化したのは、高所得世帯の所得増加幅がさらに大きかったため」と分析した。また「保守陣営が強調する最低賃金の引き上げにより働き口を失ったとか、自営業者の所得が減少したという主張は、根拠が薄弱だ」とし、「所得主導成長政策にもかかわらず、世帯所得が例年に比べて大きく増加しなかったという批判の根拠も消える」と明らかにした。

 大統領府は5月の発表以後、最低賃金引き上げおよび所得主導成長政策が失敗したという強い批判に苦しめられ、ついに政策責任者のホン・ジャンピョ経済首席が更迭される苦境に陥ったところであり、この報告書を受け取ってからの後続措置に悩んでいる。また、企画財政部は統計庁を相手に経緯を把握中だ。統計庁の高位関係者は「大統領府と企財部から問題提起があり、標本の状況について十分説明できなかった不注意があったと話した」と問題点を認めた。韓信大学のチョン・ビョンユ教授(経済学)は「文在寅政府の最低賃金引き上げと所得主導成長政策が失敗したという一部の批判はあまりに性急で不適切だったことが確認された」とし、「統計庁の調査分析に対する正確な経緯の把握と政策的意味についての分析をやりなおさなければならない」と指摘した。

 統計庁が調査標本を大幅に変えたのは、政権交代期に調査の存廃是非をめぐる政府の方針が変わったことが影響を及ぼしたという見解が多い。統計庁は、2016年に家計動向調査を廃止する方針を定めた後、2017年調査は標本数を既存の7千個から4千個に大幅に減らして実施したが、文在寅政府のスタート後に調査を継続実施することに方針が変わり、標本数を4千個から6千個に大幅に増やす過程で標本構成に変化が生じた。統計庁の高位関係者は「2018年の調査標本には2017年と異なり(低所得層である)1人世帯と高齢者世帯が多く捉えられ、2017年第1四半期と2018年第1四半期を一つの時系列でつなげて直接比較するのは無理なことになった」とし、「こうした点が発表当時に正確に伝えられず、誤解が生じた」と明らかにした。 統計庁は8月末に発表する予定の第2四半期の家計動向調査分析結果は、標本の構成のこうした問題について詳しく説明する計画だ。

クァク・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/853431.html韓国語原文入力:2018-07-16 21:20
訳J.S

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