本文に移動

文大統領「2020年最低賃金1万ウォンの公約守れず申し訳ない」

登録:2018-07-17 05:46 修正:2018-07-17 07:06
首席・補佐官会議で明らかに 
「早期の実現目指し最善つくす」 
来年19.8%引き上げねばならず 
事実上履行が困難な状況 
雇用の減少・自営業者の反発に 
一歩後退し“速度調節”する構え
文在寅大統領が今月16日午後、大統領府の与民館で開かれた首席補佐官会議で冒頭発言をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、2020年まで最低賃金を1万ウォンに引き上げるという昨年の大統領選挙の公約を守れないとして、16日に謝罪した。2年連続で最低賃金の引き上げ率を二桁台に維持したが、一部の低所得層の所得がむしろ減少し、小商工人らが経営難を訴えて反発するなど、批判世論を考慮して速度調節に入った。

 文大統領は同日、大統領府で首席・補佐官会議を主宰し、「最低賃金委員会の決定で、2020年まで最低賃金で1万ウォンを達成するという目標は、事実上難しくなった」としたうえで、「結果的に大統領選挙の公約を守れないことについて、おわび申し上げる」と述べた。さらに、「最低賃金委の決定を尊重する」と明らかにし、「最低賃金引き上げの速度は機械的な目標値にはなりえず、政府の意志だけで実現できることだとは思わない。政府は可能な限り早期に最低賃金で1万ウォンを実現できるよう、最善を尽くす」と付け加えた。

 文大統領が来年度の最低賃金の引き上げ決定と関連して言及したのは今回が初めてだ。最低賃金委員会は14日、来年度の最低賃金を今年より10.9%(820ウォン)上がった8350ウォン(約830円)に決定した。文大統領の公約通り2020年まで最低賃金を1万ウォンに引き上げるためには、来年の最低賃金委の審議で19.8%を引き上げなければならない。これは昨年の引き上げ率(16.4%)より高いもので、事実上不可能な数値だ。文大統領の謝罪はこのような現実的な条件を認めた結果である。

 文大統領が所得主導の成長への第一歩となる最低賃金の引き上げで後退したのは、最近現れた各種経済指標の悪化が影響を及ぼしたものとみられる。統計庁は先月の就業者数が1年前より10万6千人増にとどまったと発表した。就業者数は2月以降5カ月連続で10万人台前後を記録し、2010年2月の世界金融危機以降最も低かった。特に今年上半期の就業者数の増加幅は約14万2千人に止まり、前年比32万人増という政府の今年の就業者数増加目標値の達成も難しくなった。韓国銀行も今年の成長率の見通しを3%から2.9%に下方調整した。特に、最低賃金の引き上げをめぐる低所得層の臨時・日雇い労働者と自営業者らの反発も大きかった。所得主導成長の主なターゲットである彼らは、最低賃金の引き上げのせいで職場を失うことになったり、賃金負担のために経営難が進み、営業を放棄せざるを得なくなったとして、批判の声を高めた。小商工人連合会は政府の最低賃金決定を受け入れないと宣言した。大統領府関係者は「所得主導の成長の動力である最低賃金を引き上げるべきだという基調には変わりがないが、多くの現実的な困難のために速度調節を迫られる状況」だとし、「任期内に最低賃金1万ウォンの引き上げを達成することもできる」と話した。

 同日、キム・ドンヨン経済副首相兼企画財政部長官も、記者団に「経済を運用する(経済首長)立場からすると、来年の最低賃金の二桁引き上げが下半期の経済運用に負担として作用する可能性を懸念している」とし、「最低賃金が一部の年齢層、一部業種の雇用に及ぼす影響が現実化する兆しを見せており、事業者の負担能力を考慮すると、これから雇用に影響を及ぼしかねない」と述べた。

 文大統領は「最低賃金の引き上げ速度を維持するために何より重要なのは、今年と来年に続いて最低賃金の引き上げの影響を我々の経済が吸収していくこと」だとし、「最低賃金の引き上げで零細自営業者や小商工人たちの経営が打撃を受け、雇用が減少しないよう、政府が雇用安定資金だけでなく商店街賃貸借保護、合理的なカード手数料や加盟店の保護、勤労奨励税制の大幅な拡大など、対策づくりに最善を尽くす」と述べた。

ソン・ヨンチョル、チョン・ウンジュ記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/853546.html韓国語原文入力:2018-07-16 21:56
訳H.J

関連記事