米中貿易戦争が韓国の国内経済に及ぼす波及効果は、シナリオによって多様だ。中国の対米輸出の減少が、中国の内需にどの程度の打撃を与えるか、両国の輸入制裁が両国経済の購買力をどの程度低めるのか、他の国家が参加して戦争が拡大されるかなどにより韓国の国内経済が受ける衝撃は大きく変わる。
韓国政府は、直ちに経済に及ぼす影響は大きくないと見ている。ペク・ウンギュ産業通商資源部長官は6日午前に開かれた米中貿易紛争関連実物経済点検会議で「韓国の第1・2の輸出対象国である中国と米国の間の貿易紛争が激化していて、輸出依存度が高い韓国経済の不確実性と輸出業界の憂慮が高まっている」としつつも「今日から施行が予告された340億ドル規模の輸入品に対する関税と追加の160億ドルへの関税を賦課しても、短期的に韓国の輸出に及ぼす影響は限定的と見る」と述べた。
政府がこうした判断を下す理由は、今回の事態で米・中両国に輸出される韓国の輸出品が受ける影響は限定的だと見るためだ。現在、韓国の対米・対中輸出品は、ほとんどが各国で消費される製品だ。カン・ソンチョン通商次官補は「米国が最終貴着地である中国への中間材・消費財の輸出は、対中国輸出全体の5%に過ぎない」と説明した。反対に、米国を経て中国へ行く韓国産の中間材は、研究者が「分析に意味がない水準」と説明するほど小さい。
産業研究院は、それにより今回の事態による対米輸出の減少額は6千万ドル(昨年の対米輸出の0.09%)、対中輸出減少額は2億7千万ドル(0.19%)にとどまると展望した。経済全体が受ける被害は、昨年の名目国内総生産(GDP)の0.05%にあたる8億ドルにとどまった。
しかし、対外依存度が大きい中国経済が、対米輸出減少の影響で動揺すれば、韓国経済が受ける影響も大きくなる。現代経済研究院は、米国が25%の高率関税を賦課する中国産輸出品(米国の対中国輸入の10%にあたる500億ドル)がすべて対米輸出に失敗し、これと関連した韓国の対中国輸出がすべて消える“悪条件”を前提にして分析してみた。その結果、韓国の対中輸出額は282億6千万ドル減少することが明らかになった。これは昨年の韓国の対中輸出額1421億2千万ドルの19.9%規模であり、昨年の総輸出額5736億9千万ドルの4.9%水準だ。
最悪のシナリオは、米中間の貿易戦争にとどまらず、ヨーロッパまで参加するグローバル貿易戦争に拡大する場合だ。現代経済研究院は、全世界の関税率が平均1%高まる場合、国家の交易量は0.48%減ることを前提に分析してみた。その結果、全世界の平均関税率が現在の4.8%から10%に高まれば、国家の平均交易量は7.3%急減し、国内経済成長率は0.6%下落し、雇用が15万8千人減少することが明らかになった。