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米中、世界大恐慌以後「最大の貿易戦争」

登録:2018-07-06 22:46 修正:2018-07-07 07:13
互いに輸入品に高率関税賦課発効 
トランプ「2週間以内に追加報復措置」
中国との貿易戦争を宣布したドナルド・トランプ米大統領//ハンギョレ新聞社

 米国と中国がとうとう貿易戦争の火ぶたを切った。1930年代、大恐慌を悪化させ、世界を戦争のうずへ推し進めた悲劇が繰り返されないか世界が事態を注視している。

 米通商代表部(USTR)は米国東部時間の6日0時1分(韓国時刻午後1時1分)、818品目340億ドル相当の中国産輸入品に対して25%の関税を徴収すると発表した。中国も5分後の現地時間12時5分、商務部報道官談話を通じて報復措置を取ったことを明らかにした。中国政府は談話で「米国は世界貿易機関(WTO)規則に違反して、規模の面で経済史に類例のない貿易戦争を始めた」として「中国は国家の核心利益と人民大衆の利益を守るためにやむを得ず必要な反撃を強要されることになった」と明らかにした。陸慷外交部報道官は午後の定例ブリーフィングで、中国が報復関税の賦課を始めたことを公式に確認した。ウォールストリートジャーナルなど米国メディアは「(世界を二分する二大国間の)貿易戦争が、1920~30年代の大恐慌以後最大規模」と指摘した。

 両国は追加措置も予告している。米国は24日に聴聞会を開き、160億ドル分の中国輸入品に対する高率関税を賦課する時点を決める。中国も同規模で正面対抗する方針を明らかにした。ドナルド・トランプ大統領はこの日、モンタナ州に行くために搭乗した米国大統領専用機「エアフォースワン」で「2週間以内に(残った)160億ドル分に対する関税が賦課されるだろう」と述べた。米国が今までに公開した報復措置(合計4500億ドル分)がすべて現実になれば、昨年の中国の対米輸出額(昨年5054億ドル)の大部分が報復対象になる。特に、今回の貿易戦争の火ぶたを切ったトランプ大統領は、11月に中間選挙を控えていて、中国から明確な“譲歩”を勝ち取るまでは妥協が容易でない状況だ。現在の摩擦の局面が少なくとも選挙が終わる年末までは続くだろうという意味だ。

 米国の報道機関と専門家は、今回の“関税爆弾”が、米国が広範囲な輸入品に関税を賦課した大恐慌時期の「スムートホーリー関税法」(1930年)以後で最大の措置だと指摘した。ダートマス大学のダグラス・アーウィン教授(経済史)は「この保護貿易措置で大恐慌が悪化した。(トランプ大統領の関税賦課は)それに次ぐ保護貿易措置」と指摘した。

 1929年、大恐慌が勃発すると米国は広範囲な輸入品に高率関税を賦課するスムートホーリー関税法を制定した。米国のこの措置に反発して世界各国が報復措置を取り、1929~1934年世界貿易は66%も減少した。それによって大恐慌が悪化し、世界の主要国が経済のブロック化に乗り出し、第2次世界大戦という惨劇を呼び起こした。これに対する反省から、戦後米国など西欧国家は「関税および貿易に関する一般協定」(GATT・1995年世界貿易機関に発展)と国際通貨基金(IMF)という二軸を通じて世界の自由貿易を支えてきた。

 しかし2017年1月、「アメリカ第一主義」を掲げて執権したトランプ大統領は、戦後の世界の繁栄を維持してきた自由貿易の根幹を揺さぶっている。米国のピーターソン国際経済研究所の集計によれば、トランプ行政府は2018年に入り総額1650億ドル規模の輸入品に高率関税を賦課した。覇権競争を行っている中国だけでなく、大西洋を挟んだ長年の同盟である欧州連合(EU)、隣国のカナダ、メキシコ、東アジアの核心同盟である韓国や日本など相手を選ばない。

 第2次大戦以後、米国が主導した貿易戦争がなかったわけではない。リチャード・ニクソン、ロナルド・レーガン、父ジョージ・ブッシュ大統領の時も、日本やヨーロッパの工業製品・農産品などに高率関税を賦課した。しかし、これらはすべて短期間で終わり、米国の優位を受け入れた相手国が譲歩した。しかし今度は、貿易攻撃を受けた国家がそろって報復関税を賦課したり賦課を準備している。

 米国の一方的措置に中国が決然とした抵抗の意志を繰り返し明らかにするのは、米国が主導する覇権秩序に順応しないという意志の表明と見られる。欧州連合も、トランプ大統領の行き過ぎた一方主義に怒りを表し、米国との同盟関係について懐疑的立場を明らかにした。この戦争が誰の勝利に終わり、どのように妥協がされようが、米国が第2次大戦以後主導した自由貿易秩序は以前とは変わった姿になるだろう。米中関係と米国と欧州連合など同盟国の関係も調整されると見られる。今回の貿易戦争の本当の深刻性はここにある。

チョン・ウィギル先任記者、北京/キム・ウェヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/852256.html韓国語原文入力:2018-07-06 20:40
訳J.S

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