本文に移動
全体  > 経済

韓国政府、原子力技術の中心軸を安全・解体と放射線活用に移動

登録:2017-12-19 03:37 修正:2017-12-19 08:00
科学技術情報通信部「未来原子力技術の発展戦略」を発表 
安全・解体研究の強化と放射線技術の活用を拡大 
宇宙・国防・海洋・極地などとの連携研究を促進 
研究炉と中小型原子炉は海外輸出を支援 
原子力研究院・原子力医学院などの組織を再編
原発爆破解体技術=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 原子力政策の中心軸が「原発の振興・輸出」から「原発の安全・解体技術」と「放射線技術の活用」へと移動する。

 科学技術情報通信部(科技情通部)は18日、「未来原子力技術の発展戦略」を発表し、「政府のエネルギー転換政策を原子力研究開発で支えると共に、既存の原子力技術力の経済的・社会的活用を拡大するための戦略を立てた」として、「このような研究方向に沿って大学や研究機関などの力量を結集し、国民の生命と安全中心の技術開発で原子力研究開発のパラダイムを転換する計画だ」と明らかにした。科技情通部はこれに向けて、原発の安全・解体研究の強化や放射線技術などの活用拡大、研究炉と中小型原子炉の輸出支援の強化、核融合エネルギーなど未来エネルギー源の確保に向けた努力、核心技術の産業化を5大核心戦略に掲げた。科技情通部は、発展戦略を具体化するため、まず来年の原子力研究開発事業の施行計画に反映する一方、上半期まで原子力研究開発5カ年計画を修正・補完していく方針だ。

 政府の未来原子力技術の発展戦略で核心となるのは、原子力研究の中心軸を以前の政府の振興・安全から、安全・解体の方向に転換するという点だ。科技情通部は、稼動原発の安全性を確保するため、安全技術を高度化し、使用済み核燃料の全周期的安全技術開発を推進すると発表した。使用済み核燃料研究は、活用よりは廃棄技術に重点を置く計画だ。政府は使用済み核燃料処理技術については専門家の再検証を実施することにし、「パイロプロセッシング(乾式再処理技術)およびナトリウム冷却高速炉」に対する事業の再検討委員会を構成した。使用済み核燃料を安全に処分するために、産業と協力して研究を支援することにした。

 原発の解体と関連し、科技部は産業と協力して核心基盤技術と商用化技術など、原発の解体技術96種を2021年までに開発することを目指し、まず来年中に183億ウォン(約18億円)を投資することにした。来年にはこれを含めて、原発の安全および解体技術研究開発に計687億ウォン(約69億円)の予算が投入される。

 原子力政策のパラダイム転換のもう一つの軸は、放射線技術の活用を拡大することだ。政府は先端医療に放射線技術を融合させ、国民の保健を増進して医療市場を先取りするという目標を立てた。患者個人に合わせた医薬、診断放射線医薬品の支援など、医療バイオ技術開発支援のために、まず来年に138億ウォン(約14億円)を投資する。原子力医学院は放射線技術基盤の研究中心の病院に育成する計画だ。 また、宇宙や国防、海洋、極地分野で原子力技術を活用できるよう、宇宙部品の高放射線認証、海洋原子力システムの開発、中性子非破壊検査の開発など、原子力の活用研究に対する支援も強化する予定だ。

 原発輸出支援は研究炉と中小型原子炉に限られるものとみられる。科技部は国内で開発したU-Mo研究炉原発燃料など原子力の要素技術の海外輸出を支援し、サウジアラビアやヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)など中東諸国との外交を通じて、研究炉と中小型原子炉の海外進出を支援する方針だ。

 政府は未来原子力技術発展戦略を実現するため、原子力研究開発体制の革新を目指し、韓国原子力研究院の組織を改編することにした。核燃料サイクル技術研究所を使用済み核燃料の安全管理研究所に再編し、使用済み核燃料の安全管理研究に重点を置く計画だ。また、原子炉開発研究所は原子力応用技術研究所に改編し、稼動原発の安全や他の分野活用を中心に転換すると共に、放射線科学研究所は原子力基礎科学研究所に転換して開発よりも基礎・源泉研究に集中するようにする方針だ。

イ・グニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/823952.html韓国語原文入力:2017-12-18 21:24
訳H.J

関連記事