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韓国政府「2038年には原発14基」に縮小目標…「国民とともに脱原発」の強い意志

登録:2017-10-25 07:49 修正:2017-10-25 17:23
閣議議決「脱原発ロードマップ」の意味 
国家文書に未来の原発数明示 
政権が変わっても覆すことができないよう明確化 
「国民の大多数が選択」共同プロジェクトとして 
協同組合・市民支援を通じて新再生エネルギーを拡大
8月28日午後、蔚山市蔚州郡の韓国水力原子力本部の周辺に新古里原発5・6号機が建設されている=蔚山/シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 政府が24日に閣議を経て審議・議決した「エネルギー転換ロードマップ」は、脱原発を社会と国民が一緒に率いていくプロジェクトとして明確に設定したという解釈が出ている。特に、新古里(シンゴリ)5・6号機建設の再開がむしろ脱原発の速度を上げる動力として作用するムードも感じられる。

 議決された内容のうち最も印象的な内容は、将来韓国の原発数が2022年に28基、2031年に18基、2038年に14基と確定された点だ。韓国の未来の原発数が国の公式文書で明確に示されたのは、1978年の古里(コリ)原発1号機の初臨界(原発の連続核分裂の稼動開始)からの40年間で初めてのことだ。政府はこのような段階的な原発削減案を、第8次電力需給基本計画(2031年まで)と第3次エネルギー基本計画(2038年まで)に反映することにした。5年後に政権勢力が変わっても「脱原発へ進む道」を覆せないようにするという意志が反映されたものとみられる。

原発の段階的削減対象の現況および展望//ハンギョレ新聞社

 特に、持続可能な脱原発に向けてエネルギー転換ロードマップを政府官僚と政治勢力が主導するよりも、全国民と社会が一緒に率いていくプロジェクトとして設定したと評価されている。これは、この日行われたメディア向けブリーフィングでペク・ウンギュ産業通商資源部長官が述べた言葉に鮮明に表れる。ペク長官は「野党を中心に政界で脱原発ロードマップも公論化が必要だという指摘がある」という質問に対し、「脱原発は昨年の大統領選挙で(文在寅<ムン・ジェイン>当時候補が)公約に掲げており、国民の大多数が脱原発に共感した。国民から選択されたと見ている」とし、「今回の新古里5・6号機の公論化委員会も同じ結論を下したと考える」と強調した。国民の同意を受けただけに、脱原発ロードマップをゆるぎなく推進すると宣言したわけだ。これと関連して政府は、現在国内全体の発電量の7%である再生可能エネルギー(太陽光・風力など)の割合を2030年までに20%に拡大すると述べ、「特に協同組合と市民中心の小規模なソーラー事業を支援・拡大する」と明らかにした。

 もう一つ目立った内容は、法・制度の改正を通じて脱原発を突破するのではなく、原発産業に従事する関係者たちとの「協議」を通じてロードマップが一つ一つ履行されるようにするという構想だ。月城(ウォルソン)1号機の早期廃炉と2038年までに寿命が満了する老朽化原発(合計14基)の寿命延長の禁止と関連して、政府は既存の原子力関連法や電気事業法を見直したり、新しい特別法を制定して禁止の根拠を明示する案はなるべく避けようとしている。産業通商資源部の高位関係者はハンギョレの電話取材で「法の制定・改正の方式は政治的・社会的論議を招くことになる公算がある」と話した。新古里5・6号機の「熟議」と同様に「関係機関の間の協議」を通じて解決していく方式で推進するという意味だ。

 脱原発に反発したり懐疑的な集団・地域を説得しながら、国民の脱原発参加の拡大を図るという意向も示した。何より原発解体産業の育成が代表的だ。脱原発の履行過程で葛藤を起こしている原発産業・地域の所得や雇用など経済的被害に対する補てん対策も、基金など余裕財源を活用して広範囲に設けることにした。ソーラーパネルの普及方式も「脱原発参加」という目的と無関係ではなさそうだ。ソーラーパネルが国土に無分別に乱立することになれば、自然環境が損なわれるという批判が提起されているが、政府は大規模のソーラー「計画立地」を設けることで、乱開発を阻止し批判を払拭する構想だ。

 一方では、新古里5・6号機建設の再開がむしろ脱原発をさらに加熱させて推進できる局面づくりに一役買ったという分析も出ている。社会的議論が一段落し、脱原発にさらに弾みがついたということだ。新古里5・6号機の公論化の発表後、4日後に政府として最高議決機構である国務会議(閣議)を経てエネルギー転換政策の中長期目標・方向を盛り込んだロードマップを電撃的に発表したのも、脱原発に向けての自信の反映と解釈される。「閣議議決」は、原発をめぐるこれ以上の世論の分裂を急いで終息させるという意味も含まれているものといわれている。

チョ・ゲワン記者kyewan@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/815879.html 韓国語原文入力:2017-10-24 21:50
訳M.C(2067字)

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