ドナルド・トランプ米大統領が、韓米自由貿易協定(FTA)廃棄を検討していると言われる中で、米国内でもこれをめぐり賛否両論が交錯していると見られる。米国企業と議会側では廃棄の動きに反発する気流が強いという。
韓米自由貿易協定廃棄の可否を決める最初の分岐点は今月5日になると予想される。ウォールストリートジャーナルは、トランプ大統領が5日に協定廃棄の可否を議論するため、ホワイトハウス高位参謀らと会う予定だと報道した。
協定廃棄については、トランプ行政府内でも賛否の対立があると米国メディアは伝えた。トランプ大統領とロバート・ライトハイザー米貿易代表部(USTR)代表は、交渉廃棄に関心を示しているとウォールストリートジャーナルは伝えた。
一方、ハーバート・マクマスター国家安保補佐官とジェームズ・マティス国防長官、ゲーリー・コーン国家経済委員会委員長らは、トランプ大統領の協定廃棄の動きを阻むために努力しているとワシントンポストは伝えた。協定廃棄反対派は、北朝鮮がミサイルプログラムと核実験、日本上空へのミサイル発射などを通してますます敵対的になっている時点に、韓国政府を孤立させることを望まないとしていると同紙は説明した。
トランプ大統領の韓米自由貿易協定廃棄準備指示、および廃棄可否議論の方針は、先月22日にソウルで開かれた特別会議が決裂した後に出てきたと見られる。米国のマスコミも、韓国が特別会議で協定に重大な変化を望まないという立場を見せたことに、トランプ大統領が不快感を感じたと伝えた。韓国が提案した「共同研究」を、時間稼ぎ戦略と見なし、トランプ大統領が「強攻」を指示した可能性が高いと見られる。
「廃棄検討」指示が、自由貿易協定の改定交渉で有利な高地を先に占めるための見えすいた脅しなのか、真剣に廃棄を念頭に置いたものなのかはまだ確実でない。ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、廃棄の有無については直接言及せず「交渉が進行中」とし「今の時点で私たちが発表する内容はない」と述べた。議論の過程に精通した行政府外部の関係者はウォールストリートジャーナルに「(廃棄検討が)どれほど真剣なのか実際には疑問」と明らかにした。
米国の経済界では廃棄に反対する声が多い。米商工会議所はこの日、会員に向けて緊急に回したメモで、自由貿易協定発表以後に航空宇宙分野で韓国への輸出が80億ドルになり倍増し、農業分野の輸出も急増したとし「韓米自由貿易協定の廃棄はホワイトハウスと産業・農業系間の関係を破裂させるだろう」と警告した。
全米製造業者協会も会員向けに緊急Eメールを送り、廃棄決定を阻むために「できるだけ早く政府高官、議会、州知事と接触せよ」と促したとウォールストリートジャーナルは伝えた。
議会側でも廃棄阻止の動きが活発化する可能性が高い。畜産業が主な経済基盤であるネブラスカ州を選挙区とする共和党のベン・サス上院議員は、この日声明を通じて「私は農民、牧場主らと共にする」として反対する方針を明らかにした。また、韓米自由貿易協定は当初から「経済同盟」概念で接近した側面があり、いわゆる議会の知韓派を中心に協定廃棄に反対するものと予想される。