ドナルド・トランプ米大統領が求めてきた韓米自由貿易協定(FTA)改定をめぐり、韓米両国が22日に初交渉に乗り出す。
産業通商資源部は、韓米両国が22日午前、ソウル小公洞(ソゴンドン)のロッテホテルで、韓米自由貿易協定共同委員会の特別会期を開くと、21日明らかにした。改定・修正に向けた交渉を開始するかどうかをめぐり、緊張感あふれる対面となる見込みだ。両方の首席代表のキム・ヒョンジョン通商交渉本部長とロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が先に映像会議を行ってから、ヨ・ハング産業通商資源部通商政策局長とジェイーミソン・グリアー通商代表部秘書室長など双方の代表団が高官級会議を開く。
最初の議題は、これまで5年間の協定の効果に関する調査・分析を開始するかどうかだ。米通商代表部は先月韓国に通知した特別会期の招集要求書簡で、「韓国に対する貿易不均衡(2016年の場合、米国の統計で277億ドルの赤字・韓国の統計では232億ドルの黒字)の解消に向け、韓米自由貿易協定の改定及び修正の可能性を含めた協定の運営状況を検討しよう」と提案した。改定交渉を行うためには両国が“合意”しなければならない。一方、韓国政府は「相互互恵的という効果を分析するため、先に両国が共同で調査・評価をやってみよう」と主張している。
韓国側の提案を米国が受け入れるかどうかが交渉の行方を決めると見られる。米国がこれを受け入れて両国が調査・評価に着手すれば、公式の改正交渉は見送られ、今後交渉の構図は幅広い品目にわたる「包括的かつ長期的な」やり取りの構図になる可能性が高い。一方、拒否すれば、米国側は自動車、鉄鋼など主要ターゲットのリストを交渉で集中的に提起するやり方で、交渉の加速化を図ると共に、貿易収支の縮小という短期成果を追求する戦略で臨むと予想される。米国が調査・評価に同意しながらも、「品目別の交渉と同時に進めよう」と逆に提案する可能性もある。
今回の交渉を控え、米国が「貿易収支の不均衡の解消」という議題を先取りし、韓国は防御的立場に追い込まれた。10年ぶりに復帰したキム・ギョンジョン本部長が就任後の第一声で、「通商政策担当者らは守勢的なゴールキーパー精神を捨て、交渉相手を予測不可能にする戦略家になるべきだ」として、攻勢的戦略を予告したのもこのためと見られる。
産業部通商官僚の話を総合すると、「拡大利益均衡」を交渉目標としている。商品収支の黒字規模を減らす代わりに、両国間の貿易拡大を追求するということだ。特に「国益の最大化」を名分に掲げて、特定品目と産業で「相手が想像できない予測不可能な」(キム・ヒョンジョン)カードを取り出す可能性も排除できない。もしこのような戦略を使うことになれば、階層別・産業別に利益あるいは被害が異なる事態を招きかねないという、10年前の条約締結当時の議論が再燃する可能性もある。
キム・ヤンヒ大邱大学教授(経済学)は「韓米協定が互恵的だという話を私たちが過度に強調する必要はない」とし、「米国側が協定を改正したいなら、私たちにも言いたいことが多いというふうに積極的に対応する方が効果的」だと指摘した。