韓米自由貿易協定(FTA)改正交渉を控え、米国産牛肉業界に続き、養豚業界も改定に事実上反対するという立場をまとめた。交渉開始以前から米国の産業界内部に“利害関係の衝突”が起きている状況で、協定文に明示された開催時限(1カ月)の12日もすでに過ぎた。
13日、米連邦官報のウェブサイトによると、米国養豚協会(NPPC)は先月31日の韓米FTAを含む貿易協定に対する意見書を米貿通商大表部(USTR)に提出した。養豚協会は意見書で「韓米FTAに対する我々の主な懸念は、同協定が廃棄されるかもしれないこと」だとしたうえで、「韓米FTAで韓国が米国産豚肉の輸入関税を撤廃する過程にあるため、同協定が廃止されれば、韓国市場を欧州連合とチリの養豚業者に奪われる不利な地位に置かれることになるだろう」と強調した。韓米FTAが発効する前の米国産豚肉の輸入関税は22.5~54.0%に達した。協定発効前の2010年、韓国の米国産豚肉の輸入は8万7千トンだったが、昨年は13万9千トンに増えた。
これに先立ち、先月27日、米畜産協会など3大牛肉業界団体長も、ロバート・ライトハイザー米通商代表部代表宛に送った書簡で、「韓国市場に対する米国産牛肉の占有率と莫大な既存投資を危うくする、いかなる韓米FTAの変更も支持しない」と明らかにした。
米通商代表部は先月31日まで、韓米FTAを含め、米国が締結した全ての貿易協定に対する意見を関連団体及び各国政府から受け付けた。この過程で鉄鋼協会・自動車・半導体などの製造業界は品目別に貿易収支の赤字を並べて韓米FTAの改定を強く要求する一方、農畜産物業界は協定の改定・廃棄に反対する立場を表明し、混乱が広がっている。韓米両国が神経戦を繰り広げている中、米国業界内部でも利害関係が明確に分かれており、両国の改定交渉戦略に大きな影響を及ぼす“突出要因”に浮上している。
このような状況で、政府も先月31日、韓米FTA改定に向けた圧力への対応を盛り込んだ駐米韓国大使館名義の意見書を米通商代表部に提出した。この書簡で政府は「韓米FTAは相互互恵的」だとし、FTA発効後、米国50州の輸出増加率を分析・提示した。FTA発効5年前(2007~2011年)と5年後(2012~2016年)を比較すると、50州のうち40州の韓国向け輸出が増えており、オハイオ・ミシシッピ・インディアナなど14州は、韓国への輸出が50%以上増加した。特に、「ペンシルバニア・オハイオ・ミシガンなどトランプ大統領の支持基盤とされる『ラストベルト』(Rust Belt)の輸出も年平均45%も増加した」として、トランプの主張とは異なり、米国製造業も韓米FTAの“恩恵”を受けているという内容を強調した。
一方、先月12日、米通商代表部が韓米FTA共同委員会の特別会期開催を書簡で求めてから、1カ月が過ぎた。産業部が先月24日、米国に送った答申に対する米国側の再返信がまだ届いておらず、両国は初の会議の日付・場所・議題をまだ決めていない。協定文によると、開催要求が提出されてから30日以内に初会議を開くようになっている。