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為替戦争の引き金を引いたトランプ…韓国も「観察対象」に

登録:2017-02-02 00:15 修正:2017-02-02 08:02
対米貿易黒字の規模が大きい中国・ドイツ・日本を正照準  
為替操作国、3つの要件がすべて合致しなくても 
米財務部の都合で条件緩和し指定可能
1月20日昼、米ワシントンの議事堂前で行われた大統領就任式で第45代米大統領に就任したドナルド・トランプが就任演説をしている=ワシントン/EPA聯合ニュース

 トランプによる保護貿易の矢が対米貿易黒字の割合が大きい中国、ドイツ、日本を正照準し、韓国も為替戦争の流れ弾に当たる可能性が高まった。

 ドナルド・トランプ米大統領は31日(現地時間)、為替と関連して中国と日本を露骨に非難した。トランプは大統領選党内選挙の遊説の時から、米国の貿易赤字を中国、韓国、日本などの不公正貿易のせいにしていた。彼は先月、メディアとのインタビューで「米国企業が(中国と)競争できないのはドル価値があまりに高いからであり、これが我々を殺している」と述べた。当時、ホワイトハウス国家通商会議(NTC)のピーター・ナバロ委員長は「ドル高は中長期的には米国にとって良い」とし、トランプの発言の波紋を抑えようとしたが、今度はドイツを狙って攻撃に加勢した。トランプのドル高阻止の方針に米政府内の共感が広がっていることを示している。

 ドイツがユーロ安により貿易で相対的な利益を得たという批判があるのは事実だ。しかし、最近の対ドルユーロ安はドイツの為替操作ではなく、米連邦準備制度の基準金利引き上げとトランプ自身が掲げた景気浮揚策が主な要因というのが一般的な分析だ。したがってナバロのこのような発言は、今後のドル安誘導のためにドイツとの衝突があっても推し進めるという意志と読み取れる。

 現在、米国の財政赤字と経常赤字は、国内総生産(GDP)比3.7%、2.7%に上る。トランプの減税と財政支出の拡大にドル高まで重なれば、米国の双子の赤字はさらに大きくなるほかない。

 もはやトランプ政府は、為替レートと関連して中国を非難するのにとどまらず、日本とドイツを真っ向から攻撃する段階に進んだ。4月末に予定されている米財務部の為替報告書の公開を控え、韓国をはじめ6カ国の「観察対象国」で緊張感が高まっている背景だ。米財務部は、毎年4月と10月の2回にわたって為替報告書を議会に提出する。

 米財務部の為替操作国(深層分析対象国)の指定要件は、対米貿易黒字が200億ドル超過、GDP比経常黒字が3%超過、外国為替市場のドル買い額がGDP比2%超過の3つだ。3つの基準をすべて満たせば為替操作国に指定され、2項目だけ該当する場合はその前段階である観察対象国に指定される。これを根拠に昨年、韓国、中国、日本、台湾、ドイツ、スイスの6カ国が観察対象国に指定された。ただし、昨年10月の為替報告書を基準に韓国、日本、ドイツは2要件に該当し、中国は対米貿易黒字という1要件だけが合致しているにも関わらず、観察対象国に指定された。一度指定されると、要件の状況が変化しても少なくとも次の為替報告書ではその地位に残留させるという条項を米財務部が追加したためだ。根拠法であるベネット・ハッチ・カーパー法(BHC法)は、為替操作国・観察対象国の指定の数値基準を具体的に明示しているわけではないため、米財務部が条件を都合に合わせて変えることができる。

 最近、中国は人民元安防止に努めていたため、ドル買い介入要件には全く合致しない。中国はドルを買うどころか、売って人民元の切下げを防ぐ方向で市場に介入した。結局、今春に中国が為替操作国に指定されれば、現在2つの要件にだけ合致する韓国も攻撃をかわすことは難しいという話だ。ハナ金融投資のキム・ドゥオン研究員は「トランプ政府が再び基準を緩和し、韓国を為替操作国に指定する可能性も排除できない」と話した。

ハン・グァンドク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/780953.html 韓国語原文入力:2017-02-01 21:51
訳M.C(1646字)

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