中国の経済成長率が昨年4分期に上昇に転じる兆しを見せたことが明らかになり、今年中国経済のハードランディング憂慮が多少緩和された。だが、アメリカ優先主義・保護貿易主義を露骨に予告したドナルド・トランプ行政府が20日(現地時間)スタートし、主要2カ国(G2)の通商・為替レートの軋轢が全面化する可能性が高まった。トランプ自身はもちろん、長官指名者らも連日「中国たたき」に乗り出し、中国もメディアを通じて「応戦論」を展開しているため不確実性が拡大する局面だ。
20日、中国国家統計局は2016年年間国内総生産(GDP)成長率が6.7%と集計されたと発表した。これは1990年以来で最も低い数値だ。中国は成長率が2015年以後2年連続で7%を下回り、いわゆる6%台成長の固定化を意味する「バオリョー(保六)時代」に入った。
しかし昨年第4四半期の成長率は、前年同期比で6.8%上昇し、上昇に転じる兆しを見せた点が注目される。第1~第3四半期はそれぞれ前年同期比で6.7%成長だったが、第4四半期には成長率が0.1%ポイント上がったためだ。韓国国際金融センターのイ・チフン中国チーム長は「第4四半期の成長率反騰で、昨年初めに提起された中国経済のハードランディング憂慮が緩和された」と指摘した。
この日中国は、昨年12月の小売販売増加率も発表したが、市場予想値を上回り前年同期比10.9%増加したことが分かった。これに対して市場調査機関IHSのアジア太平洋首席エコノミストであるラジブ・ビスウォーズ氏は、ブルームバーグに「中国の伝統的成長動力だった投資と輸出が弱くなり、個人消費が経済成長の重要な動力になっている」と話した。投資については、民間投資より政府の財政投資の成長寄与度がはるかに大きかった。
国際通貨基金(IMF)は今年の中国成長率展望値を6.5%と提示するなど、ゆるやかな成長鈍化傾向を展望したが、米中関係の不確実性が大きな変数として残っている。
専門家たちは、トランプ行政府が関税や為替レートのカードを取り出して、直ちに中国に向けた全面制裁に出ることはないだろうと見ている。中国は元貨安の遮断に出たうえに、中国産品に一括的に高率関税を賦課するならば、直ちに米国内消費者の不満が噴出しかねないためだ。ただし、トランプ行政府が近い将来に中国の特定企業に対し圧迫を加えたり、非関税制裁などを実施する可能性は低くないという意見も強い。
韓国政府もトランプの大統領就任式発言に鋭意注視している。韓国政府が最も憂慮する部分は、保護貿易主義を露骨化した通商圧迫だ。韓国に対する直接的な圧迫も憂慮されるが、主要2カ国(G2)の米国と中国の間の通商・為替レート軋轢により不確実性が高まれば、悪影響が韓国経済にも及びかねないためだ。
ユ・イルホ副首相兼企画財政部長官はこの日、旧正月連休を控えて忠清南道公州(コンジュ)の山城(サンソン)市場を訪れ、「トランプ大統領の就任の辞で、経済と通商の部分に関心を持っている。中国に対して何を言うか、予測が付かない」とし「ただし韓国に直接言及する可能性はほとんどなさそうだ」と見通した。ユ副首相は「トランプ当選者が候補時期とは立場が異なると言われているが、通商問題に関連してどんな変化があるか、分析する予定」と話した。