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韓国政府の“トランプなだめ”?…米国産自動車・航空機の輸入拡大を検討

登録:2017-01-27 05:33 修正:2017-01-27 09:10
2017年の対外経済政策方向が確定 
輸入拡大し、対米経常収支の黒字減らし 
必要な場合、米国に汎省庁の代表団も派遣 
THAAD問題による中国との通商摩擦は他の国と共同対応 
産業部「自動車輸入の拡大に対する検討はなかった」不協和音
韓国の対米経常収支黒字の推移を示すグラフ。2010年136億8千万ドルから2014年には409億9千万ドル、2015年には330億3千万ドルを記録した=韓国銀行資料//ハンギョレ新聞社

 政府が「米国優先主義」を掲げる米国のトランプ政権の政策方向に合わせて、米国産自動車や航空機の輸入拡大を検討することにした。対米経常収支の黒字を減らすことで、米国の為替レート操作国指定や輸入規制を避けるための措置と見られる。THAAD(高高度防衛ミサイル)配備に伴う対中通商摩擦については、中国駐在公館同士の協力強化など他の国と共同で対応することにした。

 政府は26日、政府ソウル庁舎でユ・イルホ副首相兼企画財政部長官の主宰で開かれた第190回対外経済長官会議で、このような内容が盛り込まれた「2017年対外経済政策方向」を確定した。政府は韓国との貿易の比重が高く、経済的に最も密接な米国と中国を中心に対外不確実性が高まっているだけに、これを安定的に管理することに焦点を合わせた。

 政府はトランプ米政権が、「米国優先主義」政策を実行に移し始めたことにより、今後世界の交易量が萎縮し、成長が鈍化しかねないと予想した。特に、米国の景気浮揚策の影響で、金利上昇、ドル高など金融・為替市場の変動性が拡大する可能性があると見た。これに対し、政府は米国と2国間協議チャンネルをできるだけ早く稼動させ、必要な場合、汎省庁の代表団を送って通商・投資協力を強化する予定だ。

 米国の輸入規制、為替レート操作国指定の可能性についても対米経常収支の黒字を減らす方向で備えることにした。シェールガス(年間280万トン)などの原材料に続き、米国が強みを持っている自動車、航空機、航空機部品、半導体など輸送装備と産業用機器の輸入を拡大する案を検討する方針だ。事態が韓国に飛び火する可能性を最大限低く押さえようということだ。企画財政部の関係者は「トランプ政権の政策方向に合致する新たな協力パートナーシップが必要だ」として、「対米貿易構造を改善していく計画」だと話した。通商関連主務省庁である産業通商資源部の動きも忙しくなっている。産業通商資源部のイ・インホ次官補は今週、米国を訪問し、実務協議を行う一方、チュ・ヒョンファン長官もウィルバー・ロス米商務部長官内定者の承認が済み次第、閣僚級会談を要請する予定だ。

 政府はサード配備の決定後、中国が非関税障壁を高めているとしながら、二国間チャンネルとともに世界貿易機関(WTO)などを積極的に活用することにした。 また、同様な困難を経験する主要国家と共同で対応するため、中国駐在公館同士の協力も強化する予定だ。

 このような政府の政策の方向をめぐっては「G2(米国と中国)リスク」に対する省庁間の調整も十分に行われていなかったうえ、具体性も不十分だとして、批判の声もあがっている。トランプ政権が保護貿易主義行動を本格的に始めているのに、韓国政府は「二者協議チャンネルをできるだけ早い時期に開催する」など具体的な対策や日程を示していない。トランプ大統領が1兆ウォン(約982億円)を投資すると明らかにしたインフラ市場進出戦略についても、「調査を開始した」と述べただけだ。韓国の自動車業界に大きな影響を与えかねない米国産自動車輸入などについて産業部は「検討したことはない」と敏感に反応した。

 対中経済政策方向も同じだ。THAAD配備決定以降、中国の報復的措置が続いているが、政府は依然として「報復措置であることが明確でないため、公式的な対応が難しい」と繰り返してばかりいる。

キム・ソヨン、チョ・ギェワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/780348.html 韓国語原文入力:2017-01-26 15:30
訳H.J(1696字)

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