生産、消費、投資、どれをとっても景気が全方向的に凍りついている。こうした景気の冷え込みは、所得水準の低い世帯に特に重くのしかかってくる。家計負債と住宅景気に支えられてきた“質の悪い成長”も、来年には難しいという分析があふれている。こうした流れを反転させる政策カードは、すでに消耗したか国政混乱で足止めを食った。韓国経済が“四面楚歌”に陥った。
30日、統計庁と雇用労働部資料によれば、今年下半期に入って景気が急速に冷え込んでいる。現在の全般的景気局面を示す「景気動向指数循環変動値」は9月(-0.3ポイント)に続き、10月にも同じ幅で落ちた。この指数が2カ月連続で大幅に落ちることは、2012年8~10月以後初めてだ。めったに見られないことが今年下半期に進行しているという意味だ。
景気の悪化は全方向的だ。全産業生産は2カ月(9~10月)連続で減少(季節調整済・対前月比基準)し、投資も減少幅は多少縮まりはしたが2カ月連続で減った。先月は消費だけが唯一比較的大幅(5.2%)に増えたが、持続性には疑問符がつけられる。統計庁のオ・ウンソン産業動向課長は「10月に消費指標が良く出てきたのは、前月(-4.5%)の基底効果とコリアセールフェスタのような政策効果が反映されたため」と話した。
所得水準が低い階層、あるいは働き口が不安定な階層が最も大きな打撃を受けている。一例として所得下位40%に属する世帯(全国、2人以上基準)の可処分所得は増えるどころか、今年1分期から第3四半期まで連続で減少している。特に第3四半期(7~9月)の所得下位20%世帯の所得減少幅は、何と7.1%(前年同期比)に達する。消費者物価上昇率が1%台後半であることを念頭に置けば、これらの階層の実質所得減少幅は9%に近い。
臨時日雇い(300人以上企業従事者基準)の月平均賃金が3月から8月まで6カ月連続で減ったことや、路地裏食料品店などの自営店舗を意味する「専門小売店」販売額などの指標がデパートや大型マートとは異なり2カ月(9~10月)連続で減ったことは、下位階層に一層冷たい風が吹いている現実を示す。企画財政部経済政策局関係者はハンギョレの取材に「下位階層の所得減少幅が当惑するほどに大きくなっている。統計にはあらわれないだろうが、生計自体が困難になり泣いている世帯も少なくないだろう」と話した。
こうした景気状況を打開するカードも見当たらない。先ず韓国銀行は、景気振興のための金融緩和が難しい状況だ。基準金利の引き下げは、韓国経済の構造的リスク要素である家計負債の増加をあおりかねない。また、来月の米国政策金利引き上げの可能性が非常に高いために、利上げにともなう外国人資金の離脱とウォン-ドル為替レート急騰という金融市場不安リスクも考慮しなければならない。
財政政策(という矢)はすでに政府の弓を離れた状態だ。強い緊縮基調で編成した政府の2017年予算案は9月国会に提出された。沈滞する景気を支え、所得下位階層の生計負担を減らすためには、来年初めにも追加補正予算を編成しなければならないという勧告が出ている。しかし、チェ・スンシル-朴槿恵(パク・クネ)ゲートのせいで国政のリーダーシップが崩壊しており、補正予算の編成をしたくとも難しい状況だ。最近、経済協力開発機構(OECD)が来年の韓国経済成長率(実質)を6月に出した展望値(3.0%)より0.4%も下方修正したのも、こうした事情を念頭に置いたためだ。
国内経済アナリストの間では、来年の成長率は2%序盤台も難しいのでは、という話が公然と出ている。今年までは建設景気に支えられて、それなりに前年水準(2.6~2.7%)の成長は可能と見られるが、来年にはそれさえも難しいということだ。韓国開発研究院(KDI)のオ・ジユン、チョン・ギュチョル研究委員はこの日「最近の住宅建設急増傾向に対する分析と示唆点」報告書で「来年には住宅建設の増加傾向が鈍化し、経済成長率を0.4~0.5%p程度引き下げるだろう」と明らかにした。KDIは5月に来年の経済成長率を2.7%と展望したことがある。KDIの高位関係者はハンギョレと会い「従来展望値(2.7%)を引き下げるのは既に常識になっているのではないか」と反問した。