少子高齢化に潜在成長率の低下まで、次第に活力を失いつつある韓国経済が直面している課題は、日本が20年前に経験した「長期不況」の前兆と驚くほど似ている。韓国経済は終わりの見えないトンネルに入ったのだろうか。国際通貨基金(IMF)の診断は「そうではない」という側だ。韓国経済は日本と向き合った平行線のようだが、いくつかの重要な差異があるということだ。同機構は、韓国経済が日本のような長期不況に陥らないためには、強力な産業の構造再編と労働市場の改革が伴わなければならないと勧告した。
8日、国際通貨基金が発表した報告書(2016 ARTICLE4)によると、同機構は「日本と平行線、韓国の挑戦」という別途報告書を通じて、韓国の少子高齢化と経済成長率の低下について分析した。国際通貨基金は、まず韓国経済が直面した各危機の兆候が、1990年代半ばの日本に非常に似ているという事実を指摘した。
同機構はまず韓国の人口構造が20年差で日本を追従していると見ている。日本の場合、経済活動の中枢である生産可能人口が1995年に全人口比で63%とピークに達した後、2015年までに56%に下がった。韓国も2017年に生産可能人口が66.5%でピークに達した後、徐々に下がり20年以内に56%まで落ちると予想される。また、4%台を前後していた日本の潜在成長率が、2000年代に入って1%未満に下がったこともまた、韓国の潜在成長率の推移と似ている。
国際通貨基金はまた、非製造業分野の生産性低下と労働市場の二重構造も、日本とよく似た韓国経済の負担になると見ている。韓国の労働生産性は1995年から2001年までは年平均4.6%上昇するなど、世界的にも高い方だったが、サービス業分野はその半分にとどまったということだ。これは1970年以降、製造業の労働生産性が3倍近く急騰する間に、サービス業の労働生産性はわずか25%の増加であった日本と似ている。また、正規・非正規労働者の間の壁が高まるにつれて生じた労働市場の二重構造も、やはり韓国と日本に共通して現れた現象だ。同機構はこのほかにも独自生存可能性が低い「ゾンビ企業」の比率が増え、これに対する構造調整が遅れている現象なども韓日両国で共通に現れた現象だと把握した。
しかし、同機構は両国の経済体制に決定的な違いもあると見た。まず国際通貨基金は韓国の財政健全性を高く評価した。日本の国家債務比率は1990年の国内総生産比70%の水準から、2015年には250%まで急上昇したが、韓国の国家債務比率は2015年現在40%の水準を維持しているためだ。その結果、韓国政府は構造調整を先導する財政的余力があり、短期的な副作用についても円滑に対処できるということだ。
国際通貨基金はまた、両国が直面している物価下落の質的な差にも注目した。韓国の(消費者)物価上昇率は2011年まで4%を上回り、2012年以降1~1.5%にとどまっている。長期デフレーションを経験した1990年代初めの日本の物価上昇率の推移と似た様相だ。しかし、原油安などの短期的要因を除いたコア物価上昇率では2%台の上昇を示している。コア物価上昇率がさらに低かった日本のデフレと同一に見ることはできないというのが国際通貨基金の見方だ。同機構は、韓国政府に強力な構造改革を求めた。ゾンビ企業に対する対応が遅れているため、金融圏の不良という追加負担まで負わなければならなかった日本の経験から教訓を得なければならないということだ。また、二重構造化された労働市場の改革も同じく経済成長に重要な触媒の役割を果たすだろうと見込んだ。財政・通貨当局が少子化対策を最優先課題と認識しなければならないという提案も出された。少子化による人口構造の変動が経済体制に最も大きな影響を及ぼすだけに、出産率低下現象に対する監視と対策づくりが急がれるということだ。
ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2016-09-12 17:01