「消費は増え、低所得層の利益は減少」
エネルギー研究院、累進率・段階の緩和を主張
国民の党・共に民主党も料金改編を推進
産業資源部「料金が跳ね上がる世帯は4%のみ、高くはない」
半月以上熱帯夜が続くなか、カン氏(47)は寝付けない夜が続いている。昨年夏、1日3〜4時間ずつエアコンをつけたところ電気料金が20万ウォン(約1万8000円)を超えた経験から、なるべくエアコンをつけないようにしている。とても我慢ができないときは家族をつれて大型スーパーに“避難”する。カン氏は「電気料金の高騰で、エアコンは客が来るときだけつける飾りものになった」と言い、「街の商店はドアを開けたまま寒いくらいにエアコンをつけているのに、家庭用だけ電気料金累進制を適用するのは公平に反するのではないか」と話した。
最高気温が連日35度前後になる蒸し暑さに襲われた今年の夏、再び電気料金累進制の議論が持ち上がっている。ここ数年間相次いで猛暑が朝鮮半島を襲ったうえに、エアコンの普及で世帯当たりの平均電力消費量は年々増えているが、電気料金累進制は2007年以来10年近く変更されていないためだ。政界で累進制が議論に上るなか、国策研究機関でも累進制緩和の主張が提起された。
7日、エネルギー経済研究院は「住宅用電力需要の季節別の価格弾力性の推定による累進料金制の効果についての検証研究」という論文で「世帯当たりの消費電力が増加する場合、その傾向を反映した累進区間や累進倍率の調整が必要であるのに、10年間全く変化がなかった」とし、「適正原価を反映した料金の構造よりも消費の節約を強調するため」と分析した。
世帯当たりの月平均電力使用量は、1998年の163㎾hから2014年には226㎾hに増加した。300㎾hを超える世帯の割合も同じ期間に5.8%から28.7%に増えた。報告書は月の使用量が300㎾hを超えると韓国電力の「総括原価」を上回る価格で電力を使うと推算したが、累進制はエアコンが贅沢品の扱いを受けていた過去の基準を固守している。
論文を執筆したチョ・ソンジン研究委員とパク・グァンス専任研究委員は、現行の累進制が無条件に低所得層に有利な構造だけではないという点も指摘した。「最も多くの利益を受ける対象は高所得の1人世帯」とし、「障害者など構造的に電力消費が多くなる世帯は、低所得層でも負担が大きくならざるを得ない」とした。そして「消費電力の増加に応じた累進制による低所得層のコスト削減効果は継続的に縮小するばかりで、むしろ原価以上のコストを払う副作用も増えている」と付け加えた。
これにより、論文は累進段階と累進率の両方を緩和すべきだと主張した。米国や日本は累進段階が3段階程度であり、累進倍率も2倍以内であるうえ、世帯当たりの平均使用量が増えれば累進区間もそれに合わせて調整する。だが韓国は累進段階が6段階にもなり、累進倍率も最高11.7倍で、過剰であるということだ。
政界でも電気料金体系を変えようという動きが出ている。国民の党は累進制区間を4段階に減らし家計の負担を軽減し、代わりに電気を多く使う企業が料金をより多く払う法案を推進することとした。共に民主党のパク・ジュミン議員は、累進段階を3段階に減らし倍率も2倍まで下げる内容の「電気事業法一部改正案」を発議した。
しかし政府は、累進制は過度なレベルではなく、これに手をつければ低所得層の負担が増える可能性があると反論する。産業通商資源部の関係者は「夏の世帯当たりの平均電力消費量は、4人世帯基準で360㎾hだが、料金で計算すると5万ウォン程度で高いものではない」とし、「最高区間である500㎾h以上を消費し料金が高騰する世帯は全体の4%程度に過ぎない」と説明した。また「300㎾h以下の消費の場合、他国よりも明らかに安い」と話した。産業資源部は200㎾hの電気使用料金は、韓国では1万9000ウォン(約1700円)、米国は3万2000ウォン(約2900円)、日本は6万4千ウォン(約5800円)だと説明した。
韓国語原文入力:2016-08-07 21:33