江原道の春川(チュンチョン)にある「ネイバー・データセンター」のサーバー12万台は、24時間休むことなく動き続ける。ネイバーに接続して検索語を入力したり、動画や音楽をプレーすれば、サーバーは情報を見つけ出し使用者につなげてくれる。この過程でサーバーが吐き出す途方もない熱を冷やす冷却・空調施設も24時間稼働するのだが、一般的にサーバー稼動および冷却にかかる電気料金はデータセンター運営費の約3分の1を占めるという。この冷却費を削減しようと、外国の情報技術(IT)企業らがアラスカのような寒い地方にデータセンターを建設するほど、電気料金負担は大きい。
昨年1年間にネイバーデータセンターが使った電力は、1時間当たり5271万キロワットに達する。原子力と火力発電に主に依存する国内状況を考慮すると、サーバー運営にだけ2万2352トンCO2(二酸化炭素トン:温室ガス排出量を二酸化炭素を基準として換算した値)を排出したことになる。高速鉄道を利用してソウルと釜山を17万8000回往来して発生する二酸化炭素量に匹敵する。グーグリング(グーグル検索)を一度するたびに二酸化炭素0.2グラムが排出されるといわれる。
情報通信産業が製造業と違う「煙突のないクリーン産業」という主張は過去の話だ。「電気を食べる怪獣」と知られるデータセンターのためだ。韓国ITサービス産業協会の資料(2013年)によると、世界で50万9200、国内で113のデータセンターが稼動している。国内のデータセンターが2013年に使用した電力は1時間当たり26億キロワットで、同年の国内全電力使用量の0.5%に達した。スマートフォンなどによるデータ使用量が増え、クラウドコンピューティングが活性化したことで、データセンターの電力使用量は年平均40%以上増えている。
国内のデータセンター113ヶ所
1時間当たり26億キロワットの電力消費
再生エネルギー使用は1%未満
ネイバーが公言した「100%目標」は遠い先
グリーンピース「企業覚醒だけでなく
政府エネルギー政策も伴わねば」
国際環境団体グリーンピースは3日、ソウル・西橋洞のグリーンピース韓国事務所で「あなたのインターネットはきれいですか? 韓国IT企業再生可能エネルギー成績表」を発表した。太陽光など再生エネルギー使用比率は、SKC&Cが1%、KTが0.44%、ネイバーが0.006%でしかなかった。関連情報をほぼ公開したネイバーだけがAを、SKC&C、KT、LGC&SはD、情報公開を拒否したLGU+、サムソンSDS、ダウムカカオはF(落第)の成績となった。
国内データセンターの大部分は首都圏に集中している。大規模発電施設がないので他の地域で生産した電気を使う。ネイバーはこの日、グリーンピース発表に合わせて「春川データセンターで使うエネルギーをすべて再生可能エネルギーに変えていく」と約束した。国内初めての試みだが、100%転換時期がいつになるのか明らかにしなかった。
グリーンピースのゲリー・クック主任分析員は「韓国の場合、企業のビジョンだけでなく、政府のエネルギー政策も共に歩調をそろえる必要がある」とした。ネイバーも「韓国電力から受ける電気自体がほとんど火力・原子力を基盤にしているので、100%達成までには越えねばならない障壁が多い」と指摘した。
しかし政府は2011年から、安い電気料金▽冬季冷房費削減▽安定的地盤▽中国・日本に隣接した位置を打ち出し、外国企業を相手に「グローバル・クラウド・データセンター」誘致を積極的に推進している。原子力発電所や送電塔建設反対運動が起きているのに「値段が安い電気料金」を前面に外国企業のデータセンター誘致にまで名乗り出たのだ。しかし実績は限られ、日本のソフトバンク・データセンターが慶尚南道・金海(キムヘ)に来ただけだ。
グリーンピースのイ・ヒョンスク気候エネルギー・キャンペイナーは「アップル、フェイスブック、グーグルなど多くのグローバル企業がすでに『100%再生可能エネルギー使用』を約束しており、(外国企業が)再生エネルギー発電比率が3%未満に過ぎない韓国の不利な立地条件を選ぶ理由はないだろう」と指摘した。
政府もデータセンターの“グリーン化”を推進したことがあるが、今はほとんど手放し状態だ。同業務を担当する未来創造科学部キム・クンヨン情報通信事業課事務官は「企業が電力使用効率化指標(PUE)の公開を敬遠し、現状把握が正しくできないでいる」と説明した。イ・キャンペイナーは「インターネットを使う瞬間、私たちの誰もが知らず知らずに二酸化炭素排出に参加する悪循環ができてしまった。情報技術業界の覚醒と政府および韓電の電気生産方法の変化が伴わなければ、データセンターの競争力強化も難しくなる」と指摘した。
韓国語原文入力:2015-06-04 10:14