両通貨の一体認識強まる
今年の取引日のうち、3分の2で騰落一致
中国に大型の悪材料が出れば韓国ウォンは打つ手なし
韓国ウォン・ドルの為替レートが1240ウォンを突破した2月29日、ソウル外国為替市場では午前9時20分頃から1時間ほど、下り坂だった為替レートが突然上昇に転じ、20分後に1.9ウォン上がった。 中国人民銀行が中国元・ドルの為替レートを10時15分(現地時間9時15分)に告示した直後だ。
金融市場に及ぼす「10時15分」の威力は、今年初めに中国元貨の告示交換率が4日連続で引き上げられ(元貨切下げ)、韓国をはじめとする世界の市場が確認したことがある。 その時刻は韓国の外国為替市場では既に固定変数になっている。
今年に入って中国と韓国の外国為替市場開場日が重なった36取引日の対ドル為替レートを比較した結果、中国元貨の告示交換率発表直後の5分間の元貨告示交換率とウォン為替レートの騰落方向が一致した日は23日だったことが把握された。 反対だった日は11日だ。 元貨告示交換率とウォン為替レートの終値方向が同じだった日は21日、異なった日は13日。 二つの比較対象のうち、2日は韓国ウォンの為替レート変動がなかった。
また、二つの通貨の終値騰落方向が同じ日は22日、反対だった日は12日だ。 残りの2日は元貨為替レートに変化がなかった。 要約すれば、元貨告示交換率に韓国ウォンが直ちに反応し、その傾向が終値まで続くことがパターン化されたわけだ。 韓国ウォンの価値の行方は3分の2程度まで元貨に追従したことになる。
外国為替市場では韓中経済の相関性が高まり、市場参加者が両国通貨を一体と見る態度が強いためと分析している。 ハイ投資証券のパク・サンヒョン投資戦略チーム長は29日に出した報告書で、ウォン・元貨価値の相関係数(1なら完全一致)が2010年から現在まででは0.3222だが、2015年以後だけを見れば0.6844であり相関が大幅に高まったと分析した。
中国が昨年8月11日に告示交換率の変動幅を事実上拡大した直後にも、こういう現象が目についた。 ヘッジファンドなどの投機的資本が韓国ウォンを元貨の“代理通貨”と見て両者を行き来して取り引きしていることも両国通貨の同調化を煽っている。 昨年8月11日以後、元貨(-5.5%)とウォン(-6.3%)の価値下落幅はよく似ている。
問題は中国経済に対する否定的展望が深刻な状況で同調化が強化された点だ。 今年、インドネシア(3.6%)、マレーシア(2.5%)、タイ(1.1%)の通貨はドルに対して価値が上がった反面、韓国ウォン(-5.2%)は世界的にも価値が最も多く下がった部類に属す。 英国ポンドが韓国ウォンより通貨切下げ率が多少高いが、これはヨーロッパ連合(EU)脱退の可能性のためだ。
今年に入ってからの韓国ウォン価値下落率は中国元貨(-0.9%)よりも目立つが、北朝鮮問題が大きな影響を与えたと見られる。 基準金利の引き下げ展望や景気鈍化憂慮、外国人の株・債権資金離脱も加勢した。
このように脆弱性が高まった状況で、中国が大型の悪材料を提供すれば韓国ウォンは打つ手がなくなる公算が高い。 韓国ウォンの立場としては元貨の追加切り下げを公言するヘッジファンドとの全面戦争を宣言した中国当局を応援しなければならない境遇だ。 人民銀行が29日、金融緩和のために銀行支払準備率を17%から0.5%下げたことが元貨の価値をさらに下げかねないという展望も出ている。
前出のパク・サンヒョン・チーム長は、韓国ウォンの価値が下半期には反騰する可能性があるとしつつも「中国経済や外国為替市場がハードランディングすれば韓国ウォンの価値も暴落の恐れがある」と話した。