ドルからウォンへの為替レートが19日、1230ウォン台に上がった。5年8か月ぶりの最高値だ。世界金融市場で安全な資産を求める心理が広がっているなかで、北朝鮮の長距離ミサイル発射以後の南北間の緊張高揚にともなう、いわゆる「コリアリスク」が重なり、韓国ウォンの価値が急落している。世界金融市場の流れは我々韓国では統制できないが、北朝鮮の核実験とミサイル発射にともなう投資家の不安心理を必要以上にあおらないように格別の注意が必要な局面である。
最近の為替レートの上昇速度は非常に急だ。19日の取り引きで、一時1ドル当り1239ウォンを超え、外国為替当局の介入で若干押されて1234.4ウォンで取り引きを終えた。北朝鮮のミサイル発射以降の上げ幅は42ウォン(3.5%)に達している。18日と19日の連続した外国為替当局の介入が上昇幅をそれなりに抑えたものの、上昇傾向を押し戻すのは容易には見えない。先物為替市場で外国人投資家が韓国ウォンを売ってドルが上がり、それが翌日のソウルの外国為替市場に反映されているためだ。
為替レートの上昇が輸出を助け、我々の経済の活躍の素になるだろうという考えは短絡的にすぎる。国際金融センターが18日に出した報告書を見ると、2008年の世界金融危機以降、通貨の価値の下落にともなう輸出改善効果は、先進国はもちろん新興国でも大きく落ちている。世界貿易が減少し、各国の保護貿易措置が強化されたためだ。また国際分業活性化で輸出品における中間財の輸入の比率が高まっている状況で為替レートが上がると、輸入の費用も共に増える。為替レートの上昇はドル表示の負債が多い企業にも負担になり、外国資本の流出を加速化することもある。
外国の為替当局が市場に介入して為替レートの上昇を抑制するには限界がある。上昇の速度はある程度調節できるだろうが、外国為替市場の取り引きの規模が途方もなく多く、無理に介入したら外貨準備高を浪費することにもなりうる。投資家が安全資産を好み、新興国の通貨が全般的に劣勢を見せるのはどうにもならない事実だ。しかし我が国の場合、北朝鮮のミサイル発射以降、これに対応する政策が国家の信頼度に大きな悪影響を及ぼさないようにうまく管理する必要がある。19日の外国為替市場では「北朝鮮が金正恩(キムジョンウン)第1書記の指示で南に対するテロを準備中」という国家情報院の報告が、少なからぬ影響を及ぼした。南北関係と韓中関係の行方に投資家が非常に敏感になっていることを政府は留意すべきである。
韓国語原文入力:登録:2016/02/19 18:39