11月に売却方案を準備
イ・ジェヨン副会長の正式な継承控え
支配構造の否定的イメージを消す
サムスン物産のオーナー支配力が
脅かされない点も主な要因に
現代車など他の財閥にも影響
サムスンが循環出資体制をすべてなくすことにしたのは、来年に予想されるイ・ジェヨン・サムスン電子副会長の正式な経営継承を控え、財閥に対する否定的イメージを与える循環出資問題を事前に除去し、今後の持ち株会社転換の可能性まで念頭に置いた“布石”と解釈される。
公正委幹部は20日、これに関連し「オーナーが(5%未満の)少ない持ち株でグループ全体を支配する手段の循環出資に対する否定的評価が考慮されたのではないか」と話す。経済改革研究所のウィ・ピョンリャン研究委員は「サムスンが(今は推進の可能性を否定している)サムスン物産を頂点とする持ち株会社体制に転換する場合、他の系列会社が保有するサムスン物産の株式はどうせ処分せざるを得なくなる」と指摘した。
循環出資を解消しても、サムスン物産に対するオーナーの支配力が脅かされない点も主な要因とされる。循環出資解消のためサムスン電機(2.64%)、サムソンSDI(4.77%)、サムスン火災(1.38%)が持つサムスン物産株式(8.79%)をすべて売っても、サムスン物産の内部持ち株比率(オーナー家と系列会社の持ち株合計)は31.44%に達する。また友好的持ち株KCC(8.97%)と自社株(11%)が背後を支えている。
サムスン電機など3社のサムスン物産の持ち株の価値は、18日を基準として2兆4500億ウォン(約2500億円)に達し、売却方針は株価に否定的影響を与えかねない。だがサムスンは11月、すでに関連株式のすべて、または相当部分の外部売却方案を準備していたことが分かった。サムスン役員は「11月中に株を売る計画だったが、内部検討事案ができて遅れた」と語る。内部で検討された問題は、株式売却をしない事案ではなく、サムスンが早ければ年内に循環出資をすべて、または相当部分を解消する可能性は残されている。
サムスンの動きは、ロッテの循環出資解消の推進と重なり、他の財閥グループの動きにも影響を及ぼす見込みだ。現在の財閥の循環出資は8グループ94社で残っている。公正委が4月に発表した11グループ459社に比べると80%減った。これはロッテが経営権紛争後、支配構造改善レベルで循環出資を416社から67社に大幅に減らした影響が大きい。ロッテは持ち株会社転換を通じて残りの循環出資も完全になくす方針だ。サムスンとロッテを除けば、残る循環出資は6グループ20社に減る。このうちの相当数が循環出資の解消がオーナー支配権に及ぼす影響が少ない。経済改革研究所は「大林(テリム)や永豊(ヨンプン)は循環出資解消がオーナー支配権に影響を及ぼさず、現代百貨店は影響はあるが大きくない」と指摘し、「循環出資がオーナー支配権の中心となるグループは、現代自動車、現代重工業、現代産業開発だけ」と分析した。
サムスンをはじめ循環出資が財閥支配構造に占める重要性が減れば、財界の循環出資規制を理由にした経営権の防御装置の要求も力を失う見込みだ。全経連はこれまで、「差等議決権」(オーナーの持ち株に多くの議決権付与)や「ポイズンピル」(敵対的買収合併に対抗し既存株主に株式を安く買える権利付与)導入を主張してきた。一方、新規の循環出資禁止に加え既存の循環出資まで禁止させる一部野党圏と進歩陣営の主張も動力が削がれることになった。キム・サンジョ経済改革連帯所長は、現代車グループのような循環出資構造がオーナーの支配権に大きな影響力を及ぼす財閥グループに対し「これ以上時期を遅らせずに自発的に所有構造改革を推進するのが合理的な選択になるだろう」と話した。
韓国語原文入力:2015-12-21 01:15