中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の拒否権を確保するものと見られる。
米ウォールストリート・ジャーナル紙は、先月シンガポールで開かれたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の首席交渉官会議で合意された定款草案を分析、出席者たちの話を総合した結果、中国が同銀行の定款変更、加盟国の審査など、主要な決定のための拒否権を確保する可能性が高いと、8日報じた。
定款草案には「主要議題を決定する際には、議決権の75%以上の賛成を得なければならない」と明示されている。 同紙は「中国はAIIBの初期資本金1000億ドルのうち、297億8000万ドルを分担することになっている」とし、「この程度の出資金であれば、加盟国の出資金と経済規模などを反映して算出される議決権の25〜30%を占めることができる」と伝えた。そうなれば、重要な意思決定の過程において、中国の賛成なしには75%の賛成率に達することができない。通常、国際金融機関では「1ドル= 1投票権」という言葉があるほど出資金と投票権が比例する。
中国はこれまで自分たちが主導するAIIBの加盟国を確保するため、「拒否権を放棄する」意向を示してきたと伝えられる。中国外交部は3月、これに関連し「加盟国が増えるほど、各加盟国の持分は自然に減る。中国が拒否権を求めたり、放棄するという話は成立しない命題だ」と明らかにした。主要メディアは、「米国の加入反対圧力を押し切って英国やフランス、ドイツなど欧州の主要国がこの銀行に加盟したのは、拒否権を放棄するという中国の説得が決定的だった」と報じた。中国は、約17%の持分を握った米国が「すべての決定は、85%以上の賛成を得なければならない」という条項を利用して、国際通貨基金(IMF)で拒否権を行使してきた慣行を批判し、改革を促した。
しかし、中国も、定款を通じて事実上拒否権を手にしたことで、アジアのインフラ投資銀行の主導権を握ることになった。中国経済の専門家たちは、「定款上、現在中国がAIIBで唯一の拒否権を持っている」とし「しかし、(日本、米国が主導する)アジア開発銀行(ADB)とアジア地域社会間接資本投資競争を繰り広げている状況で、中国が思うがまま拒否権を行使するには制約があるだろう」と予想した。
5月のシンガポールの会議では、各国の資本金の分担金も暫定的に決まった。定款によると、域内加盟国であるアジア・太平洋諸国が750億ドルを、その他の地域の国々が250億ドルを分担する。アジアでは、中国に次いでインドが84億ドル、ロシアが65億ドルを出して、韓国とオーストラリアがそれぞれ37億ドルを出資する。ロシアは、中ロ蜜月関係を反映したかのように、域内加盟国に分類され持分を増やした。域外では、ドイツが45億ドルで最も多く、フランスとブラジルがそれぞれ34億ドルと32億ドルを分担する。韓国は出資規模で全創立加盟国のうち5番目だ。
現在、アジアインフラ投資銀行設立加盟国は、定款の草案を巡り最終的な検討作業を行っていると伝えられている。創立協定文の署名式は今月末に北京で開かれ、銀行は今年末に正式発足する予定だ。
韓国語原文入力:2015-06-09 20:35