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[ニュース分析] 加盟が有利なアジアインフラ投資銀行…米国の牽制で結論出せない韓国

登録:2015-03-16 00:01 修正:2015-03-16 12:26
 中国主導のアジアインフラ開発銀行
 28カ国の加盟で急速に勢力拡大
15日午後、ソウル鍾路区の総首相公館で開かれた政府・与党政策調整協議会のユ・スンミン、セヌリ党院内代表(前列右から)とヒョン・ジョンテク大統領府政策調整首席、チェ・ギョンファン経済副首相が歓談を交わした後、席に向かっている。イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 英国に続きオーストラリアも加盟示唆
 中国 「今月中に加盟しなければ創立加盟国と認めない」
 政府「省庁間協議して結論」

 突っ走る“中国が運転する機関車”に乗り込むべきなのか。中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)創立加盟国への加入期限が今月末に迫ってきた。アジア地域のインフラ建設をリードするこの機関に韓国が参加した場合、建設技術と経験、資金面での競争力を持っており、かなりの事業機会を得られる可能性がある。しかし、政府は、解放後の政治・経済的に密接な関係を結んできた米国の強い牽制により、加盟するかどうかを最終的に決めかねている。

■ AIIBとは?

 アジアインフラ投資銀行は、アジア・太平洋地域のインフラ投資の活性化を目的にする国際機関である。 2013年10月、中国の習近平主席がインドネシア議会演説で、最初の構想を明らかにしてからわずか1年5カ月で、この機構の設立への参加を表明した国が28カ国に増えた。バングラデシュ、ブルネイなど発展途上国だけでなく、インド、ニュージーランドに続き、最近英国も加盟を決定した。

 習近平主席が設立構想を明らかにした直後、英誌エコノミストは、アジアインフラ投資銀行の急速な勢力拡大を予測した。同誌は「アジア諸国が習近平構想に関心を持つ理由は金」だとし「2010年から2020年までに、アジア地域に必要なインフラ投資規模はなんと2900億ドル(約300兆ウォン)」と指摘した。莫大な投資需要は外貨準備高が豊かな中国の財布から出てくるしかないということだ。実際、アジアインフラ投資銀行のシードマネーとなる資本金は現在500億ドルが集まったが、その大半は中国政府が出資したことが分かった。

■ ソフトパワー戦争

 最近、英国のアジアインフラ投資銀行に加盟決定をめぐり、米国政府が不愉快さを隠せなかった事実が、英フィナンシャル・タイムズ紙を通じて伝えられた。加盟国が主要7カ国にまで拡散したことで、米国は神経を尖らせている。イギリスとともにアジアインフラ投資銀行の参加に消極的だったオーストラリアまでも、最近のこれまでの立場を変えて、中国にラブコールを送った。

 このような状況は、アジアインフラ投資銀行が単なる新しい国際機関の誕生を超えて、米国などの伝統大国と中国とが目に見えない「ソフトパワー」をめぐる戦争を繰り広げていることを示している。第二次世界大戦後米国は、軍事力よりは世界の基軸通貨であるドルと強大な経済力で、世界への影響力を行使してきた。国際通貨基金(IMF)とアジア開発銀行(ADB)、世界銀行(WB)などがその尖兵の役割を果たしてきた。

 企画財政部当局者は、「中国は、国際通貨基金クォータ改革を通じて、新興国の議決権を高め影響力を拡大しようとしたが、米国に反対された。アジアインフラ投資銀行設立の推進は、中国が独自勢力化に本格的に乗り出したという意味」だと説明する。新興国の議決権を増やす国際通貨基金クォータ改革は、2010年に韓国で開かれた主要20カ国(G20)財務相会議で議決され、国際通貨基金理事会まで通過したが、いまだに米国議会の壁を越えられずにいる。

■ 韓国、選択の分かれ道

 韓国が創立加盟国になると、後続の加盟国より議決権をより多く確保できる。銀行の主要な意思決定に韓国の立場を反映する余地が大きいという意味だ。企画財政部当局者は「加盟すれば、中国資本の国内投資の拡大とともに、アジア地域内、国内企業の事業拡大などが期待できる」と述べた。

 問題は米国の牽制だ。習近平中国国家主席は、昨年7月に韓国で開かれた韓中首脳会談の時から朴槿恵(パク・クネ)大統領に韓国の参加を要請したが、政府は答えを先送りした。米国がアジアの同盟国である韓国と日本、オーストラリアなどに、この機構の支配構造が不透明だと加盟しないように促したからだ。米国は、中国がこの銀行をテコに世界経済と政治に影響力を拡大することを、負担に感じている。米国は、環太平洋経済連携協定(TPP)を通じてこの地域を開放レベルが高い自由貿易地帯にし、中国の変化を誘導しようとする企画を推進している。企画財政部当局者は「現在までに決まったものは何もない。期限が残り少なくなったため、周辺国の動向などをもとに関係省庁間の協議を通じて最終的な結論を下す方針だ」と述べた。

韓米中の外交懸案関連の立場。 //ハンギョレ新聞社

世宗/キム・ギョンラク記者、北京、ワシントン/ソン・ヒヨンチョル、パク・ヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.15 20:21

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/682345.html  訳H.J

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