本文に移動
全体  > 経済

韓国政府支援でカジノ・リゾート2カ所増設、得をするのは財閥企業

登録:2015-01-19 11:16 修正:2015-01-19 18:34
政府が観光および企業革新の投資活性化対策
チョン・ウンボ企画財政部次官補(中央)が16日、政府世宗庁舎で開かれた投資活性化対策政府合同ブリーフィングで話している。連合ニュース

ホテル建設に約1億円支援…部屋数5000室に拡大
海岸観光地区造成、規制大幅緩和
ソウルなど市内免税店3カ所を追加指定
巨額の建設費用は大企業以外に余力なし
自然環境・地域文化を破壊する可能性も

 観光ホテル業者に対する資金支援を大幅に増やし、市内免税店の許可も年内3カ所まで出すことになった。外国人専用カジノを運営できる複合リゾートの免許も年内にさらに2か所発行することにした。企画財政部など関係部署は18日、こうした内容を盛り込んだ「観光インフラおよび企業革新投資中心の投資活性化対策」を発表し、「観光産業に大規模な民間投資を誘導し、アジア地域内の韓国の観光競争力を育てる」と明らかにした。約3兆ウォン(約3300億円、1ウォンは約0.11円、以下同)に及ぶ投資拡大は期待感と共に環境破壊や財閥グループへの恩恵につながるという議論を巻き起こしそうだ。

■ホテル建設に約1兆ウォン支援

 学校前のホテル建設の許可など立地規制緩和に焦点を合わせた昨年の政府のホテル供給拡大戦略が、今度は資金支援の拡大へと変わった。立地に問題なく事業承認まで受けたものの資金調達が困難でホテルを作れなかった事例が多いとの理由からだ。産業銀行や信用保証基金など国策金融機関が乗り出し、1兆ウォンほどの資金をホテル業者に供給することになる。産業銀行は主に大型ホテル中心に持分投資形態で資金を供給し、信用保証基金は保証限度を拡大(1件当り100億→200億ウォン)とする。部屋数5000室の拡大が政府目標だ。

■カジノ・リゾート2カ所増設

 複合リゾート事業者を年内に2カ所まで追加で選定する。複合リゾートは外国人専用カジノ、大型会議施設、テーマパークなどを同時に運営する休養施設だ。現在、仁川 空港がある永宗島(ヨンジョンド)と済州島(チェジュド)の3カ所で複合リゾート事業が推進されている。これ以外に2カ所をさらに選ぶということだ。

 複合リゾートは投資額が1兆ウォンを上回る大型プロジェクトであると同時に、年間売り上げが数兆ウォン規模になる“黄金の卵を産むガチョウ”とも呼ばれる産業だ。政府は経済自由区域内にも国内資本が複合リゾートを建てられるように関連規制も緩和させることにした。資金調達能力を備えた大企業に事業権が移る可能性が高い。

■市内免税店を3カ所新設

 年内にソウル3カ所と済州1カ所の計4カ所の市内免税店の特許を付与することにした。 今年上半期に公募し下半期に事業者を選定する。ソウル3カ所のうち2カ所は大企業を中心に一般競争を通じ、残り1カ所は中小や中堅企業のみを対象にした制限競争で事業者を選ぶ。済州は制限競争でだけ事業者を選ぶ。政府は今後も2年ごとに市内免税店を追加で設立することにした。

■海岸観光資源開発

 国土交通部は8月頃を目途に「東西南海岸および内陸圏発展特別法改正案」を発議する。東西南海岸など景観が優れた地域の開発を円滑にさせるため各種規制を免除したり緩和する特例を受けられる「海洋観光振興地区」指定のためだ。同地区に指定されればゴルフ場、宿泊施設、レストラン、シルバータウンなど観光のための各種施設は何の制約なしに作ることができるようになる。

投資活性化対策主な内容

■背景と効果

 規制緩和と追加免許発行などの措置を中心とする今回の対策で政府は3兆5000億ウォン前後の投資が増えると見込んでいる。投資減少が明らかな造船、鉄鋼、建設、海運など主力業種の経営悪化にともなう穴を観光産業で埋めるのが政府が対策を出した狙いと思われる。外国人観光客は着実に増加しており、観光投資を通した産業化の可能性がいつよりも高いと政府は見ている。文化体育観光部の資料によると、外国人観光客は2011年980万人から昨年1420万人へと3年間で440万人も増えた。日本、シンガポールを抜きアジア観光市場を先行獲得するという意味もあると政府は明らかにする。

■予想される憂慮点

 問題は価値の衝突だ。資金支援と規制緩和で観光資源を産業化するという政府の発想は自然資源の経済的価値に注目したためだ。経済中心の見解は自然環境や地域文化のき損につながることもある。開発過程で環境市民団体の反発や利権をめぐる地域内住民間の葛藤も予想される。

 現実適合性も論議の的だ。一例として、政府は観光ホテル増設が必要な理由に急増した観光客によるホテル客室の不足を示すが、供給過剰を憂慮する声もある。ソン・ヨンソン韓国観光ホテル業協会事務局長は「ソウルのホテル客室稼動率は昨年60%水準、地方のホテルは30~40%に過ぎない。客室ばかり増やしていいものではない」と指摘した。

 これ以外にも財閥企業に対する特典問題も予想される。観光産業活性化対策にともなう恩恵は一部財閥グループの懐だけを満たす結果を生みかねない。市内免税店や複合リゾートなどを建設するには投資金が数千億ウォンから数兆ウォンに達する。一般の中堅や中小企業が意欲を示すには難しい事業規模だ。関連事業をする大企業はサムスン、現代車、ロッテ、ハンファなどだ。

世宗/キム・ギョンナク記者、イ・ビョンハク、ノ・ヒョンソク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.01.18 21:36

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/674181.html?_fr=mt3 訳Y.B

関連記事