執権3年目の朴槿恵(パク・クネ)政権が経済状況が悪くなると“財閥”にすり寄る動きが明確になっている。現政権は2012年の大統領選挙と執権序盤までは経済民主化と創造経済を核心政策基調として掲げていた。今年7月にチェ・ギョンファン経済チームのスタートしてからは「家計所得の増大」も強調された。だが、下半期以後は世界経済の鈍化と家計所得の停滞で輸出と消費が共に悪化し、別の成長の軸である企業の投資にすべてを賭ける方向に政策を旋回しているものと見られる。
28日、国務調整室が「規制ギロチン民官合同会議」を開いた後に発表した規制改善推進方案は、財閥大企業に最大の恩恵が予想される。 政府が代表的な規制緩和として掲げた持株会社規制(公正取引法)緩和は、財閥大企業の核心嘆願事項中の一つだった。 政府はこの日の会議で、財閥グループが共同出資法人または非上場の中小ベンチャー企業に出資する場合に限り、持株会社のひ孫会社に対する持分要件を緩和適用することを決めた。 現在100%であるひ孫会社の持分要件を今後は50%に減らすということだ。 こうなれば財閥大企業は少ない持分率で系列会社の所有はもちろん、タコ足式拡張を通した規模拡大も可能になる。政府は昨年もSKとGSの要求を受け入れて、外国人投資促進法改正という迂迴路を通じて持株会社規制を大幅に緩和したことがある。 今回再び規制緩和を行い、財閥グループの系列会社拡張のための自由度はさらに広がることになった。
市場を通した財閥グループ監視・牽制の主なツールとして活用されてきた公示規制も緩和される。来年3月からは一定の基準に達しない従属会社の経営状況などは事業報告書など定期報告書に記載しなくても良くなる。 投資家の立場としては、財閥グループの経営全般に目を通せる情報量が減るという意味だ。 また、グループ系列会社など他の企業との大規模販売や供給契約を結んだ企業が、契約進行状況を年1回公示するように義務づけていた規制もなくなる。“単一販売・供給契約公示”が緩和されれば、財閥グループの仕事集中割り当てなど、グループの内部取引が大幅に活性化し、経済力の集中現象が深刻化される懸念が大きい。
脆弱な財務構造を持っている特定大企業グループが、構造調整の圧迫を減らすことが出来る規制緩和も推進される。主債権銀行などが主債務系列(主に財閥グループ)の財務構造評価の時に産業別特殊性を考慮して項目評価時の加点を二倍以上(2点→5点)高めることにした。 韓進(ハンジン)や現代(ヒュンダイ)グループなど建設、海運、造船業種に属する財閥グループが債権団の監視を回避できる余地が大きくなり、産業全般にリスクが高まり金融機関の健全性が脅かされることになる。
政府はこのような財閥グループの“嘆願”に基づいた規制改革をできるだけはやく終える立場だ。 チュ・ギョンホ国務調整室長は「改善を確定した課題は法令改正などの後続手続きを速度感をもって推進し、遅くとも来年上半期中には全て終えられるようにする」と明らかにした。「来年上半期」という期間を置いただけに、今後課題別国会議論や公聴会開催など社会的公論化過程が不十分になされ、“押しつけ規制緩和”の批判が提起される可能性が大きい。