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持株会社が韓国財閥「支配力強化」の手段となる

登録:2014-12-31 07:31 修正:2014-12-31 22:23
財閥3世と一般専門経営者の昇進時期の比較。 //ハンギョレ新聞社

財閥の圧力で相次いでひ孫会社許容
持分保有要件、追加緩和の推進
「総帥一家の支配強化が容易に」
導入15年目「再評価急ぐべき」との声

 「財閥所有支配構造の改善の代案」「財閥の新しい支配力強化手段に様変わり」

 最近の持株会社体制に対する相反する評価内容だ。朴槿恵(パク・クネ)政権が孫会社に対する持ち株会社の最小持分要件を追加緩和すると最近発表したことを受け、導入15年目を迎えている持株会社制度の再評価を急ぐべきだとする声が高まっている。

 政府はこれまで、持株会社制を財閥の所有支配構造を改善できる代案として提示してきた。系列会社間の循環出資に依存してきた従来の後進的な所有支配構造とは異なり、持株会社は系列会社間の交差、循環出資が禁止され、垂直的な出資のみが許可されることで、出資構造が単純透明で構造調整にも有利だという長所を持っている。政府は、通貨危機直後の1999年に初めて持株会社制の設立を許可して以来、税制優遇まで与えてきた。その結果、持株会社として設立されたり転換された財閥は、今年9月末現在、資産5兆ウォン以上63か所のうち31に達する。

■最小保有持分条件の緩和

 持株会社が財閥の新しい支配拡張手段へと姿を変えた最大の理由は持株会社の最小持分要件の緩和だ。代表例がひ孫会社の問題だ。

 公正取引委員会は当初、無分別な支配力拡張を懸念しひ孫会社の保有を禁止したが、2007年に財閥の圧力に押され100%持分保有を条件に(持ち株会社によるひ孫会社の保有を)許可した。それに今年1月、経済活性化を理由に外国人合弁法人設立の場合、保有持分が50%に緩和され、今回再び国内企業間の合弁会社はもちろん、同じ持株会社内系列会社間の共同出資まで50%に緩和する案が推進されている。政府が持株会社の最小持分要件を設けた趣旨と相容れない内容だ。

 主務省庁である公正取引委員会の関係者は30日、「持株会社内における企業間の共同出資の持分要件を緩和すると、循環出資に基づいた従来の財閥の支配構造とあまり変わらない」と憂慮した。持株会社の子会社、孫会社に対する最小持分要件も当初の30%(非上場社50%)から20%(非上場社40%)に緩和された。米国のGEは、家電や金融など100余りの会社を率いる持株会社だが、子会社や孫会社の持分がすべて100%である。公正取引委員会は、「米国の持株会社が子会社、孫会社の持分を100%保有することは、法律で決められているからではない。持株会社の経営判断が子会社や孫会社の株主の利害関係と衝突する場合、巨額の損害賠償訴訟に巻き込まれるリスクがあるからだ」と説明する。

■財閥総帥による会社の金を利用した支配

 持株会社の最小持分要件の緩和は、粗末な自社株規定と相まって財閥総帥が持株会社への転換を通じて会社の金で簡単にグループを支配する結果を生んでいる。代表例がSKグループである。SK(株)は2007年にSKエネルギーを分割し持株会社に転換した。当時SK(株)が持っていた自社株17.3%は持株会社への転換後、それぞれ17.3%ずつの自社株とSKエネルギー株式に変わり、持株会社が簡単にSKエネルギーを支配することになった。続いてSK(株)の持分11.2%持っていたSK C&Cは、持株会社とSKエネルギーの株式をそれぞれ11.2%保有するようになり、SKエネルギー株を現物出資して持株会社の持分を25.4%に高めた。これにより、チェ・テウォン会長一家→SK C&C→SK(株)→SKエネルギーにつながる支配構造が構築された。キム・ジンバン仁荷大学校教授は「サムスンも3世への承継過程で(SKように)持株会社に移行し、総帥一家の支配力を簡単に強化する可能性が高い」と指摘する。

■持株会社体制の外の関連会社

 財閥は持株会社に移行した後も持株会社の外にある関連会社を多数保有し、「形だけの持株会社」という指摘を受けている。現在、持株会社に転換した31のグループの関連会社は合わせて596あるが、この中で持株会社に属している関連会社は412(69%)に過ぎない。一部の財閥は持株会社体制の外側の関連会社を通じて持株会社を支配する奇形的な構造を持っている。また、持株会社体制の外の関連会社の多くは総帥一家の持分が高く、他の関連会社から受注したり、ビジネスチャンスを譲り受けて私腹を肥やす通路として活用される。また、持株会社体制の外の関連会社は金産分離規制を括り抜ける穴にもなる。現行法上一般的な持株会社は金融子会社を抱えることができない。しかし、持株会社体制の外にある関連会社を通じて金融会社を支配することは可能である。

■代案とは

 新政治民主連合のパク・ヨンソン議員は「政府が発表したひ孫会社の持分率要件の緩和は、持株会社の基本的な趣旨に反するもので、絶対に受け入れられない」と述べた。経済改革連帯は「持株会社の経営陣の不法行為により子会社や孫会社が被害を被った場合、株主が経営陣を相手に損害賠償を求めやすいよう、株主代表訴訟制度をより活性化しなければならない」と提案する。新政治民主連合のキム・キシク議員は、米国のように会社の人的分割を通じて持株会社に移行する場合、従来の自社株を義務焼却する改善案を検討している。

クァク・ジョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/12/30 20:26

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/671516.html 訳H.J (2278字)

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