「顧客はこう行動するだろうと勝手に決めるな。消費者が行動する現実を絶えず観察しなさい。ビジネス・業種・売上を考えずに、人間の行動と思考を観察しなさい」
大韓商工会議所が9日、ソウル中区(チュング)の商工会議会館で開いた第1回経営コンサートで、ソン・キリョン ダウムソフト副社長は「消費者の欲望」を読まなければならないと強調した。 この日の経営コンサートは、企業経営上の戦略的示唆点を提示するための行事で、傘下の企業から約600人が集まって盛況を見せた。1時間の講演を通して「人々の欲望を理解し引き出し最大化する」ビジネスを愉快に力説したソン副社長の講演内容を簡略に整理して中継する。
■ 70インチテレビを購買する消費者は、4人世帯ではなくシングル世帯
台湾のフォックスコンが作った70インチ大型テレビを買った消費者は誰か? 私たちはシングル世帯であるほど安く小さな物を買うだろうと感じる。 しかし値段が安くて小さなテレビを買う人は、シングルではなく主にモーテルの主人だ。
シングルは一人でコンピュータを見てゲームもしようと考え大型の70インチを購入する。 稼ぎの多い人々が高い大型テレビを購入するだろうと考えるが、近頃の家長は家から小遣いを貰って使い、購買の決定権はない。 借家の賃貸料と利子、子供の塾の支払いがあるので、使える金はない。 代わりに扶養家族のいないシングルの方が可処分所得が多く、彼らが大型テレビを買う。 1人世帯が急増して小型洗濯機やテレビ販売が増加するだろうという予測は外れた。 ビジネスでは自身の経験をむやみに信じるな。 何を想像しようが現実は想像とは違う。
■オフライン衣料品店は滅びる…衣類売場はショールームに過ぎない
スマートフォンとモバイルの時代だ。 消費者はオフライン売場を実際に商品を購入する場所ではなく、単に行って服を着てみるだけの“ショールーム”と感じている。 衣類売場に行って製品のシリアルナンバーを捜し出し,その場でモバイルで価格を比較してみる。
ネイバーでリアルタイムで価格を比較し、そこでオンラインで注文する。 直接購入ブームも真っ最中だ。 オンラインより高いオフライン売場はまもなく滅びることになる。 「グーグル グラス」はすでに衣類売場でシリアルナンバーを捕らえ、モバイルで価格比較まで遂行する機能を備えている。 オフライン ショッピングモールでMD(マーチャンダイザー)が構成しリリースする製品には消費者は関心がない。 ただし、直接購入できない食べ物はまだマシだ。
■外国人が一度来た町の定食屋、一瞬で名所に
ソウルのある伝統市場にみすぼらしい定食屋があった。 ある日、外国人がその食堂に座っている風景を誰かが見たとしよう。 翌日からその店は錯覚の中で美味しい名店に浮上する。 ソウル明洞(ミョンドン)を見よう。 韓国人は60年代以後、30年間にわたり明洞にはあまり行こうとしなかった。 ところが、日本人観光客がそこへ行き出し、その後に中国人が来て、何かあるのかと思って今度は韓国人もたくさん訪れている。 同じようなものでも、想像力を刺激して別のものに見せればビジネスで成功できる。 定食屋や明洞のように消費者の興奮を呼び起こし緊張感を持たせることでビジネスチャンスが生まれる。
■消費者の欲望は産業を選ばない
中国の女性は韓国の女性とは違い、整形、ダイエット、化粧品はあまり好まない。 代わりに健康美を重視し“食べること”を好む。 アモーレパシフィックがこれを捕らえて中国で「コラーゲン ドリンク」を売って大当たりした。 消費者の欲望は特定の産業を選ばない。 化粧品はダイエット産業と競争して、ファッションは整形手術業界と競争している。 ちょっと見には異質な業種のようだが、互いに競争者だ。 中国女性の事例が示すように、韓流でもドラマでも映画でも共通してビジネスの源泉は“スタイルとファッション”にある。