ソウル市内の人気複合上映館が、映画を一本上映する度に最大45編の広告を上映しているが、公示されている映画の開始時間から平均11分程度遅く映画の上映を始めていることが調査の結果分かった。 消費者団体は、映画のチケットに広告の上映時間帯を除いて映画開始時間を正確に表示しなければならないと指摘している。
消費者問題研究所コンシューマーリサーチは20~21日に観客が多数集まるソウル市内の複合上映館3か所(メガボックス コエックス、CJ CGV往十里(ワンシムニ)、ロッテシネマ建大入口(コンデイプク))を選んで『タッチャ(いかさま師)』、『ドキドキ私の人生』等の映画の実際上映時間を調査した結果、広告上映のために実際の映画上映が平均11分間遅れていたと29日明らかにした。
メガボックス コエックス館の場合、午前11時10分からと上映開始時間が公示されていた『いかさま師』が24編の広告が12分間放映された後の11時22分から実際に上映された。 ロッテシネマ建大入口館の場合も、午後2時30分と上映が公示されていた『ドキドキ私の人生』を12分間にわたり27編の広告を放映した後に上映した。 調査対象映画は全て19~27編の広告を上映開始公示時間の後に流し、10~12分間上映が遅れていた。 映画の上映開始公示時間前にすでに広告上映を始めるケースも多く、公示された映画上映開始時刻の15分前に入場した観客は、映画の本編を見る前に最長22分間45編の広告を見せられていると調査された。
複合上映館を運営する企業の収益に広告が占める比重はとても大きい。 市場占有率が最も高いCJ CGVの場合、2009年に398.2億ウォン(約41億円)だった広告売上が、昨年は781.9億ウォン(約82億円)になり、4年間でほとんど2倍に増えた。 売上に占める比重は10%内外だが、広告は原価もほとんどかからず、チケット売上のように配給会社と分けることもないので収益性が高い。
韓国の映画観覧料が外国に比べて安く、広告収益でこれを補填しているとも見難い。 カンヌ映画祭発刊物『フォーカス2014』で明らかにされた2013年基準の各国映画観覧料を国民所得(2012年)基準に換算し、韓国の映画観覧料を1とする時、アメリカは0.59、フランス0.77、英国0.98、日本0.99だ。概して韓国より安いか、または同等だ。
コンシューマーリサーチは「消費者が広告視聴の可否を決められるように、映画館は実際の映画上映開始時間を別途表示しなければならない」と指摘した。 これに対して複合上映館側は、映画の上映開始時刻以後に入場する観客が多く、広告で時間を遅延させなければ観客から不満が出るとし、指摘内容の実施は難しいという反応を見せた。 だが、このような理由よりは、映画上映開始公示時刻後に放映する広告の単価が高いという理由で難色を示していると解釈される。