‘来年10月の消費税追加引き上げは延期’名分
『朝日』等、マスコミは糾弾する雰囲気
輸出大企業は実績好転したものの
庶民は賃金下落・物価上昇の二重苦
日本政府“景気はゆるやかな回復基調”と対抗
「マイナス成長『誤算』と向き合え」(『朝日新聞』社説)
「景気とアベノミクス 首相戦略の誤算と限界」(『毎日新聞』社説)
18日付の日本のマスコミの社説は、安倍晋三首相の代表的な政策である「アベノミクス」に対する糾弾で埋め尽くされた。17日に公開された7~9月の国内総生産(GDP)が前分期に比べ0.4%の減少を記録し、二分期連続でマイナス成長を記録したことに対する憂慮だ。4月1日に断行した消費税率引き上げ(5%→8%)により4~6月の落ち込んだ経済成績表は予想されたものだったが、二分期連続のマイナス成長は予測されなかった結果だった。ついに安倍首相は18日夜に緊急記者会見を開き、来年10月に消費税率を8%から10%に追加で引き上げる計画を1年半延期し、これに対する国民の信を問うため19日に衆議院を解散し来月14日に総選挙を実施すると宣言した。
日本経済が二分期連続のマイナス成長という沈滞に陥ることにより、アベノミクスも再評価を避けにくい状況だ。 国際社会でアベノミクスは、金融を緩めインフレーションと円安を誘導する大胆な「量的緩和」政策として知られている。 しかし、首相官邸の資料によると、アベノミクスは“三本の矢”と呼ばれる3つの政策で構成されている。第一は大胆な通貨政策、第二は公共投資の拡大などを通した積極的財政支出、第三は民間投資を起こす成長戦略だ。
三本の矢という話は、日本の戦国時代の有名な武将である毛利元就(1497~1571)が三人の息子を呼び、仲良く協力して一族を導いていけと話した故事に由来する。一つの政策は簡単に折ることができるが、三つの政策が結びついたアベノミクスは決して失敗しない政策であると強調したわけだ。 実際、安倍政権は円の価値が下落すれば企業実績が改善され、これが労働者の賃金上昇につながり消費が増え、再び投資と生産の拡大につながり企業実績が改善される好循環が起こると強調してきた。
とりあえず目につく成果は、安倍首相が2012年12月に就任した時点に1万80円だった日経平均株価が17日現在で68%も上がった1万6973円を記録している点だ。消費者物価は「1.2%下落」で明確に感じられたデフレーション基調を見せた流れから「1.0%上昇」へ反転に成功した。円安の恩恵を得るトヨタなど輸出大企業の実績は改善された。『日本経済新聞』は15日、上場企業の今年一年(今年4月~来年3月)の実績が前年より3%増え、2007年(2007年4月~2008年3月)に記録した歴代最高実績の更新が展望されると報道した。
反面、円安の果実が一部の大企業だけに集中している間、庶民は賃金停滞と物価上昇という二重苦に苦しむことになった。 厚生労働省が18日に発表した勤労統計調査によると、日本の労働者の9月実質賃金は昨年同期より2.9%減少したことが確認されている。15か月連続の下落だ。7~9月の輸出も前分期に比べて1.3%の増加に終わった。安倍首相が就任した時点に比べ17日現在で円ドル為替レートが36.7%も上がったことを考えれば、非常に微々たる増加傾向だ。
日本の経済学者は今年初めに多少改善されるかに見えた経済状況も、結局アベノミクスの第二の矢である政府の財政支出拡大と4月の消費税率引き上げを控えて家計と企業が消費と投資を操り上げたために現れた「錯視現象」という見解を示している。 結局アベノミクスは、生産性向上のための骨を削る構造調整をせずに金融を緩め物価と株価だけを引き上げた“虚構の政策”だったということだ。
日本政府はアベノミクスが正当な政策だという立場を固守した。 菅義偉官房長官は18日、記者会見でアベノミクスに対する野党の批判が強まっている問題と関連して、民主党政権時期の経済状況の方がさらに悪かったことを強調し「景気は全体的にゆるやかな回復基調にある。(野党の)批判は事実でないと明確に言える」と対抗した。