朴槿恵セヌリ党大統領候補が経済民主化の象徴的人物であるキム・ジョンイン国民幸福推進委員長と事実上、決別手順を踏む可能性が高くなり大統領選挙構図が投票日を37日後に控えて重大な変化局面を迎えることになった。
12月19日の大統領選挙の構図は、今まで李明博政権との差別化を前提に、‘李明博とは異なる朴槿恵勢力’と‘政権交替 文在寅(ムン・ジェイン)-安哲秀(アン・チョルス)勢力’の正面対決様相で進行していた。 しかし、朴槿恵-キム・ジョンインの決別により朴槿恵候補の政治的立場が‘もう一人の李明博’または‘財閥と既得権の守護者’として映る可能性が高まった。 朴槿恵候補が結果的に経済民主化を拒否して成長論を選択することによって、李明博政権との差別化をあきらめたと解釈されうるためだ。 このような批判と憂慮は野党ではなくセヌリ党内から先に出てきているという点が異彩を放つ。
経済民主化を支持してきた首都圏のセヌリ党議員は12日、選挙構図がともすれば‘既得権 対 残り多数’が対決する構図に変わりかねないと憂慮した。 ある議員は「有権者の半分はこれまで朴槿恵候補が大統領になることが政権交替だと考えてきたが、今やその構図がこわれてしまった」と話した。 セヌリ党政治刷新特別委のイ・サンドン委員は次のような評価を提示した。
「4・11総選挙、大統領候補出馬宣言、大統領候補受諾演説を通じて、粘り強く経済民主化を語った人がまさに朴槿恵候補であった。 ところが経済民主化のアイコンであるキム・ジョンイン国民幸福推進委員長の要求を拒否した。 結果的に経済民主化をよく理解できずにいたという話になる。 中道層に向かって絶えず票をくれと言ったこの間の努力が水の泡にならないか心配だ。」
朴槿恵候補の決定はキム・ジョンイン委員長の‘挑発’に対する報復性格もあるが、より根本的には野党圏の候補単一化に対抗して戦略的選択をしたものと見られる。 セヌリ党選対委の核心関係者はこういう話をした。
「選対委で3週間前にすでに‘経済危機克服大統領’論に方向を定めなければならないという報告書を上げた。 世論調査指標を見れば、国民の関心は経済成長、働き口、福祉、経済民主化の順と出ている。 世界的な経済危機を迎えて、これを克服するリーダーシップを朴槿恵候補が示すべきだ。 野党圏単一化への対応次元でもそれが必要だ。 財閥に成長と働き口創出を要求するべきなのに、キム・ジョンインのような経済民主化を財閥が受け入れるか。2つとも同時にすることはできない。」
結局、朴槿恵候補が財閥改革中心のキム・ジョンイン式経済民主化をあきらめて、財閥に依存する成長と働き口創出を意図的に選択したという話だ。 ‘財閥-保守-嶺南(ヨンナム)’中心の伝統的与党票に依存して選挙を行うということだ。
関心は朴槿恵候補の選択が選挙結果にどのように作用するかであろう。 朴槿恵候補が今後既得権勢力のイメージを脱ぎ捨てられない場合、理念地形で中道層、年齢帯で40代、地域としては首都圏と釜山・慶南(キョンナム)の票を失う可能性が高い。 選対委関係者は「野党圏単一化という政治工学に対抗して、民生を上手にする政治指導者のイメージを構築すること以外に、何か他の方法があるか」と話した。 朴槿恵特有の正攻法で危機を突破するということだ。
ソン・ハンヨン先任記者 shy99@hani.co.kr