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[寄稿]韓国と日本は「大胆な中堅国連帯」に乗り出すべき

登録:2023-04-05 05:01 修正:2023-04-05 09:12
キム・ヤンヒ|大邱大学経済金融学部教授
尹錫悦大統領が3月16日午後、東京の首相官邸で岸田文雄首相と韓日首脳会談(全体会合)を行っている/聯合ニュース

 韓国では米国のサプライチェーン再編戦略が品目別に異なることが意外と見過ごされている。半導体は先端仕様のものに限って中国を排除し、国内のバリューチェーン(リショアリング)や信頼バリューチェーン(フレンド・ショアリング)を追求するが、大容量バッテリー分野では中国を包容し、地域バリューチェーン(ニアショアリング)も認めている。フォードに続きテスラまでインフレーション抑制法(IRA)を迂回し、中国のバッテリーメーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)と手を携える姿は、半導体分野では想像もできないことだ。

 米国の半導体と半導体装備の中国向け輸出は2021年から減少傾向に転じたが、一般品目の輸出においては中国とのグローバルバリューチェーン(オフショアリング)を続ける構えだ。米国が追求するのは脱グローバル化や脱中国化でなく、再グローバル化だ。欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長も「リスクの回避」(de-risking)に過ぎないと加勢した。「脱中国」はありえないし、望ましくもない。

 米国は半導体および科学法(CHIPS法)とIRAのような「現代的産業政策」を動員し、主要品目のグローバルサプライチェーンにおいて中国の代わりに信頼できる友好国に切り替えようとしているが、このような信頼価値連鎖の構築の試みに友好国は頭を悩ませている。問題はこれが始まりに過ぎないことにある。ジョー・バイデン政権序盤の2021年6月の中間報告書では、その対象が半導体、大容量バッテリー、重要な原材料(CRM)、医薬品程度だったが、翌年2月の最終報告書にはバイオ、軍需、保健、情報通信、エネルギー、運送、農食品まで次々と追加された。同年9月、米国は実際にバイオ産業の政策に着手した。

 日本は3月31日、米国に歩調を合わせて先端半導体装備の対中輸出規制を強化するために外国為替法を改定した。しかし、法案のどこにも中国を名指しする内容はなく、米国と無関係な独自の措置であると主張している。中国向けの半導体装備輸出が関連輸出の40%以上を占める日本の困惑が伺える。

 今後もCHIPS法のガードレール条項、IRAをめぐる様々な変更、バイ・アメリカン法(BAA)の横暴など、衰退する米国の意地悪は続く予定だ。我々はその度に振り回され、揺れ動くことを繰り返さなければならないのだろうか。これからは原則と一貫した対応が必要だが、だからといってどの国も単独で米国の動きにブレーキをかけるのは難しい。3月30日付の「エコノミスト」は、破滅的な米中対立を防ぐためには、西側が対中封鎖対象を敏感な品目に制限し、アジアでの戦争リスクを減らすとともに、開放性と法治で中国政府に優位を占めるべきだと指摘した。しかし、米国がその先頭にいる以上、果たして実現可能な話だろうか。期待するのは難しいだろう。

 12年ぶりに韓日首脳会談が開かれたが、勝者はいなかった。先に善意を示す韓国の「コップ半分外交」に対し、日本は誠意ある呼応を示さない「空のコップ外交」で一貫した。韓日の力学関係の変動がもたらした転換期的あつれきを、大胆な外交で一気に解決しようというのは、歴史の前で傲慢な態度と言わざるをえない。だからといって保護主義に基づく陣営化と非平和の時代に両国が直面した荒波に背を向けるのは、これまた未来に対する無責任な態度だ。妙策はなく、苦悩だけが深まる。ならば、両国とも勝者になる道はないだろうか。様々な協力事業を構想する前に、次の3つを覚えておく必要がある。

 第一に、韓日の信頼回復の動力は善意ではなく国力だ。韓国は半導体と防衛産業分野で製造革新の大国に浮上した。さらに、自由と人権、法治の価値を共有する日本の最隣接国だ。両岸関係の不確実性が高まっている時期に、台湾の半導体メーカー「TSMC」に対し日本がラブコールを送るのは目先のことに囚われているといえる。日本は韓国の戦略的な使い道を見直すべきだ。韓国も伝統の強豪である日本を過小評価してはならない。

 第二に、両国は協力空間を韓日や韓米日という枠に閉じ込めて保護主義の進化や地政学的対立を拡大するよりも、大国の政治の影響を受ける似たような立場に基づき、大胆な中堅国の連帯に乗り出すべきだ。そうして、過度な脱グローバル化と大国間の衝突のリスクを統制し、ルールに基づいた自由主義の復元に力を入れなければならない。

 第三に、韓国の善意が屈従にならないためには、日本に対するバトナ(BATNA:交渉決裂時の代案)も必要だ。もし日本が「(コップの)残りの半分」を満たさないことを勝利と勘違いするなら、断言するが、日本に未来はない。その時、韓国は日本から一銭も受け取らず、免罪符の代わりに羞恥心を抱かせなければならない。

 タガート・マーフィーは力作『日本‐呪縛の構図:この国の過去、現在、そして未来』で、日本の原罪は自発的な脱アジアだったと一喝した。そして、歴史の重りが再びアジアの方に傾いている今、日本が中心的な役割を果たすためには、韓国や中国ではなく日本自身のために過去の出来事にしっかり向き合うべきだと苦言する。両国間のソフトパワーの真剣勝負はこれからだ。

//ハンギョレ新聞社
キム・ヤンヒ|大邱大学経済金融学部教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1086515.html韓国語原文入力:2023-04-05 02:37
訳H.J

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