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[社説]韓米首脳会談を控え衝撃的な「外交指令塔」辞任

登録:2023-03-30 04:17 修正:2023-03-30 06:30
大統領室のキム・ソンハン国家安保室長が28日、ソウル龍山の大統領室庁舎で開かれた国務会議に参加している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓米首脳会談や主要7カ国首脳会議(G7サミット)など重要な外交日程を控え、「外交指令塔」であるキム・ソンハン国家安保室長が29日、結局辞任した。今月に入り半月の間に、儀典秘書官と外交秘書官の相次ぐ交替に続き、キム室長まで交替したことは、外交安全保障ラインの総体的な混乱と無責任さを示すものだ。韓国が直面する厳しい外交安全保障環境を考慮すれば、突然の国家安保室長の交替は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の外交安全保障チームに対する不安を加速させる。前日、キム室長の交替説が出ると大統領室は「事実無根」だとして公に否定したが、わずか1日でひっくり返し、政権の信頼まで自ら落とした。

 キム室長は、今月初めに米国を訪問して尹錫悦大統領の4月末の訪米日程と議題を調整した外交安全保障の実務責任者だ。この日、辞任にあたり「国賓の訪問手続きは適切に進行されており、後任者が来ても支障なく業務を遂行できる」と述べたが、無責任な話だ。

 キム室長に先立ち、韓日首脳会談の直前にはキム・イルボム儀典秘書官が自ら辞任し、続いてイ・ムンヒ外交秘書官も交替した。韓日首脳会談に続き、米国国賓訪問(4月26日)、G7サミットと韓米日首脳会談(5月11~13日)など、韓国外交が重大な岐路に立っている時だ。韓国の戦略を備えることに全力を尽くしても足りない状況において、責任者が相次いで辞任する異例の事態が起きた。しかも、うわさが飛び交うだけで明確な辞任の理由もまともに明らかにされずにいる。

 キム室長の辞任の背景には、尹大統領の米国国賓訪問の日程調整の過程で広がった雑音が挙げられている。グループ「BLACKPINK」とレディー・ガガの合同公演の事項が適切に報告されなかったことを尹大統領が叱責したことが分かった。それだけではないだろう。これまで、キム・ソンハン室長とキム・テヒョ国家安保室第1次長のあつれき説、大統領室と外交部の対立説が絶えないなど、外交安全保障チームは絶えず混乱の様相はみせていた。

 大国の自国保護主義とサプライチェーンの混乱により、輸出主導国家である韓国の経済に深刻な警報が鳴り響いている。米国は、半導体生産施設を作る企業が補助金を申請する際、敏感で重要な営業機密まで提出するよう要求している。北朝鮮は、戦術核弾頭の実物写真まで公開するなど、戦術核の脅威を露骨化している。韓米首脳会談で大統領は、韓国の未来がかかる半導体とバッテリーの問題、北朝鮮核危機に対する解決策を作りださなければならない絶体絶命の課題を抱えている。儀式と報告の前に、こうした点がどのように準備されているのか、不安がよりいっそう強くなる。こうした状況で広がる外交安全保障チームの混乱に対して、大統領は国民に最大限説明し、理解を求めなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1085738.html韓国語原文入力:2023-03-30 02:42
訳M.S

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