経済活動を中心で担う年齢層である30代、40代、50代で昨年、自殺死亡率が大きく上昇した。失職、定年、債務、離婚などの経済的、精神的負担が影響を及ぼしたと分析される。
統計庁が25日に発表した「2024年死因統計結果」によると、昨年の人口10万人当たりの自殺による死者数を表す自殺死亡率は29.1で、前年に比べ1.8(6.6%)上昇。2011年(31.7)以降で最悪となった。男性は41.8で、前年(38.3)に比べ9.1%、女性は16.6で、前年(16.5)に比べ1.0%増加した。
年齢別にみると、30代の自殺死亡率は30.4で、前年(26.4)に比べ14.9%増加。40代(36.2)も前年(31.6)に比べ14.7%増加。50代(36.5)は前年(32.5)に比べ12.2%増加。
特に40代では自殺が死因の26.0%を占め、1983年の統計開始以来初めてがん(24.5%)を抜いて1位となった。統計庁人口動向課のパク・ヒョンジョン課長は、「40代で自殺が死因の1位になったのは、経済的な状況や精神・身体的な状況に起因するものと分析された」と述べた。
保健福祉部は昨年の自殺死亡率の上昇について、人生の転換期にある中高年が主に直面する失業、定年、債務、離婚などの様々な問題、有名人の自殺とそれを伝える刺激的な報道、地域のメンタルヘルス・自殺対応人材の不足などが複合的に影響を及ぼしたと分析したと語った。また通貨危機、東日本大震災など、大きな事件の発生から2~3年後に自殺死亡率が急上昇した例が過去にあっただけに、コロナ禍が及ぼした社会経済的影響についてさらに分析する必要があると述べた。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任後初の国務会議で、保健福祉部長官に自殺死亡率の現状と対策を問うなど、このかん数度にわたって自殺予防政策のパラダイム転換を指示してきた。保健福祉部は今月12日に発表した「2025国家自殺予防戦略」で、省庁を横断する自殺予防対策推進本部の設置▽自殺未遂者に対する即時・緊急危機介入の強化▽省庁横断的なぜい弱階層支援機関同士の連携システムの構築▽地方自治体での自殺予防官の指定および専門組織・人材の補強▽人工知能(AI)ベースの自殺相談電話のリアルタイム分析および自殺誘発情報のモニタリング・遮断、などを推進することを表明している。
順天郷大学ソウル病院精神健康医学科のイ・ヨンジョン教授(韓国自殺予防協会広報委員長)は、「自殺はコロナ禍以降の経済的困難、競争の深刻化と両極化、メンタルヘルス問題などの様々な要因が複合的に作用して発生する」として、「何より児童青少年期から自殺予防教育と高危険群の発掘・カウンセリングの連携などを強化すべきだ」と述べた。
統計庁はただ、今年は昨年より自殺死亡率が改善する可能性があると説明した。パク・ヒョンジョン課長は「今年1~7月に暫定集計した自殺による死者数は前年同期より減少しており、(自殺関連指標は)改善している」と述べた。