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韓国憲法裁「大統領が選管委に及ぼす影響力を遮断する必要がある」

登録:2025-02-28 06:34 修正:2025-02-28 08:59
選管委に対する監査院の職務監察  
裁判官8人全員「独立性を侵害」
憲法裁判官らが27日、ソウル鍾路区の憲法裁判所で、監査院と中央選挙管理委員会の権限争議審判事件と、チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官によるマ・ウンヒョク憲法裁判所裁判官候補不任命の権限争議審判事件の判決のために着席している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 「憲法が選挙管理事務を独立した憲法機関である選挙管理委員会に与えたのは、大統領を首班とする政府の影響力を制度的に遮断する必要があるためだ」

 憲法裁判所が27日午前、監査院の中央選挙管理委員会職務監察が「中央選管委の独立性を侵害した」と憲法裁判官8人全員一致で指摘した内容だ。中央選管委と監査院間の権限争議事件に対する判断だが、これは宣告だけを残した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判にもそのまま適用されるものとみられている。事実上、尹大統領弾劾の認容決定文の一部を事前に書いたのではないかということだ。

 尹大統領は昨年12月12日の国民向け談話で、中央選管委に軍兵力を投入した理由について、「選挙管理電算システムがでたらめ」だとして、漠然とした不正選挙妄想を根拠に挙げた。それと共に、選管委の採用不正事件を機に監査院による選管の監査・告発がなされ、これを通じて国家情報院の中央選管委に対するセキュリティ点検が可能になったと述べた。すなわち、憲法上職務監察ができない中央選管委を対象に監査院による監査を押し付けた後、関連者の告発→国情院による点検→不正選挙の根拠の確保という主張を展開したのだ。憲法違反の素地があるとして論議になった中で強行された監査院による監査が、尹大統領の不正選挙主張を裏付ける出発点になったわけだ。

 尹大統領は25日、憲法裁の弾劾審判の最終陳述で、重ねて不正選挙を主張し、「中央選管委の電算システムをスクリーン(点検)するレベルで小規模な兵力を送った。このような措置のどこが内乱であり、犯罪だというのか、理解できない」と主張した。

 しかし、憲法裁は中央選管委に対する大統領または行政府の影響力を制度的に遮断することが大韓民国の憲法的決断だという判断を示した。

 憲法裁は李承晩(イ・スンマン)政権時代の代表的官権不正選挙である3・15不正選挙に対する反省的措置として、民主的選挙制度が憲法(第3次憲法改正)に導入されたと説明した。憲法裁は「第3次憲法改正の最も重要な内容は、選挙管理事務およびその主体を機能的・組織的に政府から分離し、独立した憲法機関に任せたことだ。以後、数回にわたり憲法が改正されたが、選挙管理の主体を政府とは別に独立した合議制憲法機関と規定し、独立性と中立性を強調する体系は、現行憲法に至るまでそのまま堅持されている」と述べた。

 憲法裁は、大統領の影響力の排除が特に重要だと判断した。憲法裁は「独立的かつ中立的な選挙管理という憲法的課題をきちんと遂行するためには、外部の権力機関、特に大統領を首班とする政府の影響力を制度的に遮断する必要がある。そのためには、選挙管理事務を行政府ではなく独立した憲法機関に任せるべきだ、という憲法的決断が憲法体系に反映された結果とみることができる」と述べた。

 憲法裁はまた、大統領が監査院を通じて独立した選挙管理を侵害する恐れがあると指摘した。「大統領は監査院長と監査委員を任命しており、特定政党の党員としてその政党の政策や利益と密接に関わる可能性がある。大統領に所属された機関である被請求人(監査院)が請求人(中央選管委)に対して職務監察ができるようになれば、選挙管理の公正性と中立性に対する国民の信頼が損なわれる恐れもある」ということだ。

 ただし憲法裁は「だからといって、中央選管委が国民の代表である国会国政調査と国政監査、捜査機関による外部的統制からも排除されるわけではない」という判断を示した。大統領などの影響力から保護すべきという憲法的要求は明らかだが、「腐敗行為についても聖域が認められると糊塗されてはならない」ということを明確にしたのだ。

 憲法裁の判断を総合すれば、尹大統領が「電算システムのスクリーンのレベルで兵力を送った」という主張さえも、憲法的に容認できない重大な違憲行為であるわけだ。

 憲法裁が今回、監査院による中央選管委の職務監察に対して憲法および法律上の権限なしになされた権限侵害であることを明確にしたことで、尹大統領弾劾審判はもちろん、チェ・ジェヘ監査院長の弾劾審判にも影響を及ぼすものとみられる。チェ監査院長は中央選管委に対する違法な監査指示の他に「監査院は大統領の国政運営の支援機関」という発言などで弾劾訴追された。憲法裁はこの日の権限争議審判で、大統領(政府)が監査院を前面に立てて憲法機関の独立した業務遂行を侵害したと判断し、「監査院の職務監察が許されないのは憲法解釈から直接導き出されたものであり、立法を通じてもこれを改正することはできない」と断言した。

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1184500.html韓国語原文入力:2025-02-27 15:04
訳H.J

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