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【社説】尹大統領側の証人たちも否定した「不正選挙妄想・陰謀論」

登録:2025-02-13 06:46 修正:2025-02-13 08:20
尹錫悦大統領が11日、ソウル鍾路区の憲法裁判所で開かれた弾劾審判第7回弁論に出席している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 内乱首謀の容疑で拘束起訴された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が12・3戒厳の理由として挙げている「不正選挙説」は、単なる妄想に過ぎないということが憲法裁判所の弾劾審判の過程でも繰り返し確認された。11日、証人として出た中央選挙管理委員会のキム・ヨンビン事務総長はもちろん、尹大統領側の証人として出席した国家情報院のペク・チョンウク前第3次長とシン・ウォンシク国家安保室長も、不正選挙の主張には一線を引いた。客観的根拠が全くない不正選挙説を戒厳の根拠にしたこと自体が理屈に合わないだけでなく、この問題が憲法裁で公式弁論の場に上がること事態が滑稽極まりない。

 キム総長は憲法裁での証言で「政府からかなりの費用支援をうけて選挙サーバを改善したのに、不正選挙という主張が続くことについて、残念に思う」とし、不正選挙の可能性を一蹴した。2023年に選管の保安点検を担当したペク前次長は「選管内部システムが侵入された痕跡は確認されていない」と証言した。尹大統領は昨年12月12日、国民向け談話で、「(選管の電算システムが不十分だという)国家情報院の報告を受けて衝撃に陥った」と主張したが、ペク前次長は「そのような報告をしたことはない」と述べた。尹大統領は誰からどんな報告を受けたのか。シン室長も「中国の選挙介入の可能性」など尹大統領代理人の荒唐無稽な質問に、答弁を拒否した。尹大統領の不正選挙関連の主張のうち、どれ一つも同調を引き出すことができなかったのだ。

 不正選挙説は2020年の総選挙で未来統合党(国民の力の前身)が惨敗したことで浮上した。それに加え、2024年の総選挙で与党「国民の力」が再び惨敗したことを受け、極右ユーチューブなどを中心に不正選挙論が再び広がった。ところが、極右ユーチューブに心酔した尹大統領が非常戒厳を宣言した主な理由の一つが「不正選挙」のためだとはあきれる。さらに、内乱罪の容疑で拘束起訴された尹大統領は、極右支持層を意識して、今は露骨に不正選挙論を掲げている。選挙で惨敗したなら、自分を振り返り、その原因を探さなければならない。ところが、むしろ選挙そのものを疑うとは、妄想と言わざるを得ない。

 ところが、これまで公には不正選挙論とは距離を置いてきた与党「国民の力」が、不正選挙説に便乗しようとする動きを見せている。浅はかな政略であることはもちろん、民主主義政党であることを自ら否定する行為だ。韓国社会でこのようにレベルの低い反知性的主張が物議を醸しているのは恥ずかしいことだ。尹大統領を迅速かつ断固として弾劾し、民主主義を蝕む不正選挙説がこれ以上浮上しないようにしなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1182124.html韓国語原文入力:2025-02-12 18:38
訳H.J

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