韓国のサンバンウルグループが北朝鮮に800万ドルを送ることに共謀し、億ウォン台の賄賂を受け取った疑いで、イ・ファヨン元京畿道平和副知事が有罪判決を受けた。裁判所は、サンバンウルによる北朝鮮への送金が当時のイ・ジェミョン京畿道知事の訪朝関連の謝礼金とみられると判断した。ただし、北朝鮮への送金の件をイ・ジェミョン知事に報告したかどうかは今回の事件の裁判とは無関係だと判断した。
水原(スウォン)地裁刑事11部(シン・ジヌ裁判長)は7日、外国為替取引法違反、特定犯罪加重処罰などに関する法律上の賄賂、政治資金法違反、証拠隠滅教唆などの疑いで起訴されたイ元副知事に懲役9年6カ月、罰金2億5000万ウォン(約2850万円)を言い渡した。イ元副知事の北朝鮮への送金と収賄容疑をすべて有罪とみたのだ。イ元副知事は2018年7月~2022年7月、サンバンウルグループから法人カードおよび法人車両を受け取り、自身の側近に虚偽給与を支給するようにするなどの方法で、億ウォン台の賄賂と不法政治資金を受け取った疑いで、2022年10月に拘束起訴された。検察はその後、京畿道が北朝鮮に支給することにしたスマートファーム事業費(500万ドル)と、当時道知事だった最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の訪朝費用(300万ドル)を、サンバンウルのキム・ソンテ前会長に代納させた疑いで、イ元副知事を昨年3月に追加起訴した。
裁判部はこの日、イ元副知事が北朝鮮への送金を共謀したという疑惑に対し有罪を宣告し、「外国為替取引法違反容疑に関して、京畿道が払うべき費用をサンバンウルが代納したというキム・ソンテ前会長発言の信憑性が認められる」と述べた。イ元副知事から「北朝鮮に送る費用を支援してくれれば、サンバンウルが北朝鮮関連事業をする良い機会を得られるだろう」という話を聞き、北朝鮮に送る資金を準備したというサンバンウル側の陳述などを根拠に挙げた。それと共に「サンバンウルの北への送金は、京畿道知事の訪朝関連の謝礼金とみるのに十分だ」と述べた。
また、イ元副知事の賄賂授受疑惑も有罪とみた。「被告や被告の家族がサンバンウルの法人カードを使ったものとみられる」と判断したのだ。また、北朝鮮関連事業の経験が全くないサンバンウルが同事業に参加した点を根拠に、賄賂に職務関連性があるという検察の主張も受け入れた。
イ元副知事がサンバンウルの北朝鮮への送金に関する容疑で有罪判決を受けたことで、共に民主党のイ・ジェミョン代表に対する検察捜査も弾みがつくものとみられる。検察はこれに先立ち、イ代表を北朝鮮への送金容疑の被疑者に切り替え、2度にわたって取り調べを行った。昨年9月にはイ代表に対する拘束令状を請求したが、裁判所に棄却され、しばらく捜査が進められなかった。しかしこの日、イ元副知事が対北朝鮮送金に介入した容疑が認められたことで、当時京畿道知事だったイ・ジェミョン代表に対する捜査も再開する根拠を確保した。
これに先立ち、イ元副知事は昨年6月、検察の取り調べに対し、「サンバンウルが訪朝費用をすべて処理してくれると聞いており、これについてイ・ジェミョン代表(当時知事)に報告した」という趣旨で供述したが、これを撤回した。イ元副知事は同年9月、獄中で書いた自筆の立場表明文で、「検察から持続的な圧迫を受け、虚偽の陳述を行った」と主張したのに続き、今年4月、公判で検察庁内で開かれた酒席で懐柔されたとも主張した。