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韓国野党第1党代表に向けられた捜査、「対北朝鮮送金」に向かう流れに

登録:2023-02-06 09:55 修正:2023-03-06 07:40
国外逃避生活中にタイで捕まったサンバンウルグループの実所有者であるキム・ソンテ前会長が、先月17日午前、仁川国際空港を通じて押送されている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 韓国のサンバンウルグループに関する検察の捜査は、そもそも大きく二つの流れに分かれていた。サンバンウルのキム・ソンテ前会長の個人不正を中心とした「怪しい資金の流れ」と、共に民主党のイ・ジェミョン代表と関連した「弁護士費用代納疑惑」だ。サンバンウルのキム・ソンテ前会長の帰国後、急流に乗っている現在の検察捜査は、サンバンウルグループの横領・背任という本流と民主党のイ・ジェミョン代表に連なる「弁護士費用代納」「対北朝鮮送金」疑惑などの支流が絡まっている。支流が本流を圧倒する余地もありそうだ。

■出発点は違った…追加された対北朝鮮送金疑惑

 二つの捜査の出発点は違った。「サンバンウル資金」捜査は昨年2月、金融情報分析院(FIU)がサンバンウルの疑わしい取引内訳をとらえ、最高検察庁に通知したことから始まった。当時はイ・ジェミョン代表との関連性は目を引かなかった。捜査は水原(スウォン)地検刑事6部が担当した。

 昨年5月頃、サンバンウル捜査の情報が流出する事件が発生。水原地検刑事6部所属の捜査官が、サンバンウル関連口座の家宅捜索令状などを検察捜査官出身のサンバンウル役員に流出したことが押さえられたのだ。サンバンウルの資金捜査とは別途に、イ・ジェミョン代表の弁護士費用代納疑惑の告発事件を担当している水原地検の公共捜査部が、弁護士費用代納疑惑を受けているある法務法人を家宅捜索する過程で、「流出資料」を確保したのだ。この資料は、検察出身でありサンバンウルの社外取締役を務めた弁護士の事務所から出てきた。異なる二つの捜査が「イ・ジェミョン」「サンバンウル」というキーワードでくくられた瞬間だった。実際、検察は捜査機密流出が発覚した後、出発点の異なる2つの捜査をまとめて捜査するようになった。

 昨年下半期に突然「対北朝鮮送金」疑惑がふくらんだ。サンバンウルの資金の流れを追っていた検察が、資金の一部の終着地が北朝鮮だという情況をつかんだのだ。特に検察は、京畿道の対北朝鮮交流事業を総括したイ・ファヨン元京畿道平和副知事(拘束)の役割に注目している。イ元副知事も、副知事在職前にサンバンウルで2017年3月から1年余り社外取締役として勤めていた。「サンバンウル」と「京畿道」をつなぐまた別の輪が明らかになったかたちだ。

 その後、京畿道の対北朝鮮事業に捜査範囲を広げた検察は、京畿道の補助金を受けて北朝鮮との交流事業を行ったアジア太平洋平和交流協会がサンバンウルから数億ウォン相当の寄付金を受け取っていた事実を把握したのに続き、同協会のアン・ブス(拘束起訴)会長が北朝鮮の高官に50万ドルを渡し、その頃、多数のサンバンウルの役員・職員も巨額のドルを中国に搬出した情況まで突き止めた。

■キム・ソンテの供述…第三者賄賂罪適用?

 サンバンウルのキム・ソンテ前会長が先月10日にタイ現地で捕まり、1週間後の17日に自主帰国してから、捜査に拍車がかかっている。検察は3日、特定経済犯罪加重処罰などに関する法律違反(横領)、資本市場法違反、外国為替取引法違反などでキム前会長を拘束起訴した。この過程で、キム前会長が2019年1月から12月に北朝鮮へのスマートファーム費用支給など名目で、800万ドルを国外に密搬出した疑惑もふくらんだ。特に、「イ・ジェミョンのことは全く知らない」と言っていたキム前会長が、検察には北朝鮮への密搬出資金のうち300万ドルはイ代表の訪朝推進計画と関連があるという爆発力のある供述をしたという。キム前会長の供述が、イ・ジェミョン代表を狙った検察捜査の方向を定めるかたちになる。

 法曹界の一部では、「対北朝鮮送金」問題を検察がイ・ジェミョン代表を狙った「第三者供賄罪」疑惑の適用に活用するのではないかという解釈が出ている。検察は、イ代表の政治活動のためにサンバンウルが北朝鮮に資金を提供したとみなし、城南FC事件と同じ構造だと判断しているという。この容疑を適用するためには、ひとまずイ代表がサンバンウルの対北朝鮮送金の事実を認知していたかどうかと、イ代表とキム金前会長をつなぐ接点が明確でなければならない。

 検察はイ代表とキム前会長の接点としてイ・ファヨン元副知事に目星をつけた状態だ。特に検察は「2019年に2回、イ元副知事と一緒の席で、電話でイ代表につないでくれたので話した」というキム前会長の陳述を確保したところだ。これに対してイ元副知事は最近「獄中書簡」を通じて、「京畿道やイ・ジェミョンのために北朝鮮にドルを渡したというキム前会長の検察陳述は、完全なる虚構だ」と反論している。

 当初は弁護士費用代納疑惑でイ・ジェミョン代表を狙っていた検察の矛先が、「対北朝鮮送金疑惑」に方向を変えたわけだが、今のところはまだ陳述と主張だけがぶつかっている様子だ。検察が具体的な証拠を公開していないということだ。イ代表は一貫して「弁護士費用代納疑惑で起訴するのはとんでもないことだ。ファクトが一つもない」と主張している。

イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1078391.html韓国語原文入力:2023-02-06 02:41
訳C.M

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