韓国の文化体育観光部が釜山(プサン)地域の映画人団体の会員名簿を釜山国際映画祭に要求していたことが確認された。この団体は先月、与党「国民の力」の議員たちが釜山国際映画祭のイ・ヨングァン理事長の辞任を要求したことに対し、批判声明を発表している。担当部署は「業務把握の観点からのもの」と述べているが、映画人団体側は「査察疑惑を呼び起こすほどの事件」だと反発した。
18日のハンギョレの取材を総合すると、文化体育観光部は11日、2019年から毎年20億ウォンあまりの補助金を出している釜山国際映画祭の事務局に「BIFF(釜山国際映画祭)革新のための釜山映画人市民の会」の名簿を要求した。これに対し事務局は同会に電話をかけ、名簿提供の同意を得たという。
同会は発表した声明で「文体部は単に我々の団体の活動と構成員を把握するためのものだったと述べているが、手続き上問題があるだけでなく、政府による民間団体査察疑惑を呼び起こすほどの重大事案」だと述べた。また「予算の補助を受けている釜山国際映画祭に文体部が(名簿を)要求したのは行政力の乱用であり、不当な圧力であるため、謝罪したうえで再発防止を約束すべきだ。要求が受け入れられなければ、文体部の今回の行動を明白な第2の文化芸術界ブラックリスト事件とみなし、積極的に対応する」と付け加えた。
同会の関係者は「私たちの団体の会員の名前は記者たちに送った報道資料にあるため、釜山国際映画祭事務局の要請に応じた。国費からの補助を受ける釜山国際映画祭事務局は、政府機関の要請に応じざるを得なかっただろう。私たちが与党議員を露骨に批判したため、文体部は査察する目的で名簿を把握しようとしたのではないかと考えざるを得ない」と話した。
文体部の担当者は「懸案の把握に向け、釜山映画人市民の会がどんな団体なのか確認するために連絡先を釜山市と映画振興委員会に問い合わせたが、連絡先が得られなかったため、釜山国際映画祭に連絡先を要請した。査察の意図はなかったが、方法が稚拙だった」と釈明した。