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「染色技法の特許を放棄しろ」南山に連行した中央情報部…朴正煕の指示だった=韓国

登録:2023-02-16 20:56 修正:2023-02-17 08:54
織物特殊染色「ホルチギ」の放棄強要事件 
「企業苦情処理を名目に不法逮捕」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 51年前、中央情報部(情報機関。現在の国家情報院)が不法監禁を断行し、特殊染色技法の発明者から特許権を奪った事件は、「輸出至上主義」を大義名分とした朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の指示でなされた事実が明らかになった。

 真実和解のための過去事整理委員会(真実和解委)は16日、織物の特殊染色技法「ホルチギ」を発明した故S氏の自己決定権と人格権および財産権が侵害された事実を認めたと明らかにした。真実和解委は最近、国家情報院から入手した内部文書で、当時中央情報部がS氏の特許権放棄を引き出すために、政府が組織的に関与した情況を確認し、このような真実究明決定を下した。

 この事件は1965年、S氏が織物に立体感を加える染色技法である「ホルチギ」の発明特許を登録したことから始まった。この技法が日本で大きな人気を集めると、模倣する業者が増え、S氏は1972年5月に26社を相手に起こした損害賠償請求訴訟で勝訴し、5億2200万ウォンを支払われることになっていた。しかし勝訴の2週間後、インタビューをしたいといって「韓国放送(KBS)」記者を詐称した中央情報部の捜査官らがS氏を南山分室に連行し、暴行と脅迫を繰り返した。S氏は結局「訴訟を取り下げ特許権を放棄する」という覚書を書いた。真実和解委は「輸出増大を国家活動の至上目標としていた大統領と商工部、中央情報部などが、『企業の苦情処理』という名目で不法な手段で被害者の人権を侵害した事実を確認した」と述べた。

 真実和解委の調査の結果、この事件の背景には朴正煕元大統領の指示があったことが明らかになった。S氏が損害賠償訴訟で勝訴した後に開かれた「輸出振興拡大会議」と関連した「閣下指示事項」という文書によれば、朴元大統領は「ホルチギ製品に特許権を与え、社会に物議をかもした。特許を与えた商工部にも過ちがある」として、法務部長官に調査するよう指示していたことが分かった。

 南山分室から解放されたS氏は、逆に虚偽公文書作成罪で起訴され、懲役6カ月、執行猶予1年の処分を受けた。ホルチギ特許を審査した商工部の公務員4人は職位解除され、S氏の逮捕状を棄却した担当判事も翌年再任用から脱落した。

 S氏は生前2006年に第1期真実和解委に真実究明を申請したが、当時の中央情報部の役割を客観的に証明する方法がなく却下された。その後、S氏の息子が再び真実究明を申請した。真実和解委は、国家がS氏に謝罪し、再審などで名誉回復と被害回復のための実質的措置を取るべきと勧告した。当時、特許権の不当性を主張した繊維企業も、S氏の財産権と人権を侵害したため謝罪しなければならないと述べた。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1080004.html韓国語原文入力:2023-02-16 19:04
訳J.S

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