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北朝鮮の脅威に韓米日協力だけを繰り返す韓国政府…「圧迫だけではさらに危険」

登録:2022-10-12 09:57 修正:2022-10-12 22:54
尹錫悦大統領が11日、龍山大統領室で開かれた閣議で発言している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、北朝鮮が「戦術核運用部隊」に言及し、韓国に対する核脅威のレベルを高めた翌日の11日、韓米同盟と韓米日の安保協力を重ねて強調した。また、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「我々は敵と対話する内容もなく、その必要性も感じない」と明らかにしたにもかかわらず、北朝鮮の非核化ロードマップである「大胆な構想」は依然として有効だと述べた。緊張が高まる悪循環の状況を乗り越えていく実質的な突破口が見えない現実を示している。

 尹大統領はこの日、龍山(ヨンサン)大統領室への出勤時の囲み取材で「北朝鮮の核脅威が日増しに深刻化している」とし、「何度も強調しているが、堅固な韓米同盟と韓米日の安保協力を土台に、非常に堅固な対応体制を構築し、きちんと備え対応していく」と述べた。尹大統領は東海上で行われた韓米日共同訓練をめぐり、野党が「親日」論議を提起していることに関しても、「核の脅威の前でどんな懸念が正当化されるのか。賢明な国民の皆さまはちゃんと判断されると思う」と述べた。

 尹大統領は同時に、北朝鮮の脅威にも「大胆な構想」が有効かという記者団の質問に「北朝鮮が核を通じて得るものは何もない」とし、まだ「有効だ」と答えた。「北朝鮮が実質的に非核化へと方向転換する場合、段階ごとに、北朝鮮の経済を画期的に改善できる支援をする」という方針を再確認したものだ。

 このような中、政府は北朝鮮の軍事行動のレベルが高まる可能性に神経を尖らせている。大統領室の主要関係者は記者団に対し、北朝鮮がミサイル試験発射と7回目の核実験だけでなく、通常の局地挑発を行う可能性も念頭に置いているとし、「北朝鮮が展開しうるいかなる挑発にも備えている」と述べた。この関係者はその対策と関連して「韓米同盟と韓米日の3国協力はいつにも増して強固だ。過去より強固で強化された形態の拡張抑制を推進している」とだけ述べた。事実上、韓米同盟と韓米日安保協力しか頼れない現実を示したわけだ。

 危機感が高まり、「朝鮮半島戦術核再配置」など極端な対応策まで取り上げられている。記者団が戦術核の再配備論について尋ねると、尹大統領は「大統領として今現在ああだこうだと公開で立場を表明できる問題ではない」とし、「韓国と米国の政府・民間の様々な意見を傾聴し、調べている」と述べた。尹大統領のこの発言は、核拡散防止条約(NPT)の順守などを掲げてこれまで戦術核再配置に明確に反対してきたこととは多少異なるものだ。この日、あるメディアでは与党と大統領室が戦術核再配置について話し合ったという報道が出たが、大統領室は「いかなる議論も進めたことがない」と明らかにした。

 専門家らは、「大胆な構想」の中で南北対話の部分が直ちに作動するのは難しい現実だという点に同意しながらも、対話の努力を断ってはならないと強調する。慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は、「すでに核保有国である北朝鮮を、制裁圧迫だけで屈服させるというアプローチはかえって危険だ」とし、「現実的な目標を設定し、精巧な対応を準備しなければならない」と述べた。ウィ・ソンラク元駐ロシア大使は「北朝鮮との対話の可能性を閉ざしてはならない。中国・ロシアを終わりなき敵対関係に追い込むべきではない」と述べた。

キム・ミナ、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1062255.html韓国語原文入力:2022-10-12 02:42
訳C.M

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