北朝鮮が10日、朝鮮労働党創党77周年記念日を迎え、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が参観した2週間の大々的な軍事演習を公開した。金委員長が韓米合同演習などを「無責任な情勢激化行動」とし、「対話する必要性を感じない」と明らかにしたことで、朝鮮半島の緊張が高まるものとみられる。
北朝鮮の対外向けメディア「朝鮮中央通信」は、先月25日から今月9日まで、金委員長がすべて現地指導を行う中、航空攻撃総合訓練▽砲兵・空軍の火力打撃訓練▽戦術核運用部隊の軍事訓練を行ったと報じた。
同通信は特に、韓国が明らかにしていない空軍戦闘機訓練と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、新型中距離弾道ミサイル(IRBM)の発射が行われたと主張した。同通信は「(今月8日)史上初めて150機余りの戦闘機を同時に出撃」させた中で「建国史上前例のない大規模な航空攻撃総合訓練」を行ったと明らかにした。当時、韓国軍はF-35Aステルス戦闘機を緊急出撃させたと報じられている。
さらに北朝鮮は、先月25日には西北部の貯水池の水中発射場からSLBMを発射したと主張した。当時、韓国軍はこのミサイルが地上から発射された短距離弾道ミサイルと分析した。同通信は、「新型地対地中長距離弾道ミサイルで、日本列島を横切って4500キロメートル先の太平洋上の設定された目標水域を打撃した」とし、今月4日に発射した中距離弾道ミサイルが「新型」だと主張した。
金委員長は、南北または朝米対話の可能性を閉ざした。同通信は、金委員長が「敵と対話する内容もなく、またその必要性も感じない」とし「米国と南朝鮮政権の持続的で意図的かつ無責任な情勢激化の行動は、やむにやまれぬ我々のさらに大きな反応を誘発させるだけだ。より強力かつ断固たる意志と行動で最強の核対応態勢をさらに強化すると強調した」と伝えた。金委員長の発言は、北朝鮮が非核化交渉に出れば直ちに経済的支援などを行うという尹大統領の「大胆な構想」に応じる意思はなく、7回目の核実験など核・ミサイル能力強化に向けたさらなる軍事措置があることをほのめかしたものと読み取れる。
大統領室は、安保の現実は厳しいとして北朝鮮を批判した。大統領室の関係者は「北朝鮮は核・ミサイルの脅威で大韓民国国民の生命と安全を脅かそうとしている」とし、徹底的に備えると述べた。今月9日、北朝鮮の短距離ミサイル発射後に開かれた国家安全保障会議では、「北朝鮮の持続的な挑発が、むしろ体制をより不安にさせる恐れがある」と金委員長に直接向けて言及した。
南北が強対強対立を続ける中、朝鮮半島の緊張は高まるものとみられる。
北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は、「韓米がどのような対応をするかによって、北朝鮮が第2段階の武力示威に乗り出す可能性があり、最も強力な手段は核実験になるだろう」とし、「北が核実験まで行えば、対話の局面に移るのは遅くならざるを得ない」と述べた。