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「韓日、10年間重症の複合骨折状態…強制動員、2段階の解決策が必要」(1)

登録:2022-08-02 07:21 修正:2023-03-06 07:44
パク・ミンヒ論説委員の直撃インタビューシン・ガクス元駐日大使
シン・ガクス元駐日大使が7月21日、ソウル光化門の事務所で本紙とインタビューを行い、韓日関係などについて語っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓日関係をはじめとする外交分野の専門家であるシン・ガクス元駐日大使は、韓日関係の中心問題となった強制動員被害解決策について、「現金化の凍結案は速やかに、強制動員全般の解決策は時間をかけて慎重に進める」2段階で解決するしかないと話す。現金化が進めば両国関係は悪循環の連鎖作用に陥り、謝罪と補償を受ける道も消えてしまうため、「政府が被害者をより積極的に説得し、差し迫った現金化を凍結する案をまず用意し」、外交交渉の空間を開いて日本企業の謝罪と基金への参加を引き出さなければならないと強調した。

 7月21日、ソウル光化門(クァンファムン)の事務室で行った約2時間のインタビューで、シン元大使は韓日関係が「失われた10年」の重症の複合骨折の危機に陥ったと診断した。韓国と日本の国力の差が急速に縮まり、対称的関係に変貌する過程で、民族主義の衝突の渦に引き込まれた状態だが、中国の浮上、北朝鮮の核能力の強化、米国の新孤立主義が深化する不確実な国際情勢で、韓日両国の戦略的協力が重要な現実も直視しなければならないと語った。日本の憲法改正と防衛費引き上げが速やかに進められにくい要因があるという見方も示した。

 対中国外交と関連しては、経済首席が「これからは中国の代わりに欧州市場に行く」などの発言で中国を刺激するのではなく、精巧な外交が必要だと述べた。「チップ4」のような形式は適切でないと米国を説得しなければならないと助言した。

 シン・ガクス元大使は、駐日大使(2011~2013)と外交部1・2次官を歴任し、韓日関係やアジア外交、国際法、北朝鮮の人権などに関する活発な著述をする傍ら、諮問の役割を果たしている。

-尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に韓日関係の問題を最大限急いで解決しなければならないという焦りが見える。最大懸案の強制動員被害賠償問題で、被害者たちは日本企業の謝罪と賠償のない代位弁済案は受け入れられないという立場をはっきり示している。

 「非常に複雑な問題であるだけに、焦ってはならないという点には同感だ。ところが、賠償判決を受けた強制動員被害者が差し押さえた日本企業の資産を現金化(強制売却)する手続きは韓国最高裁(大法院)で最終決定を控えており、早ければ8月にも売却命令が出るという見通しもある。現金化が実行に移された場合、日本が対応措置を取り、韓国もそれに対抗する連鎖反応が起き、韓日関係は取り返しのつかないほど悪化していくだろう。そうなれば、被害者も謝罪と賠償を受ける道が消えてしまう。

 したがって、日本企業の資産を現金化する問題については速やかに対策を講じ、強制動員問題は時間をかけて慎重に解決する2段階案を進めるべきだ。まず政府の官民合同委員会が被害者と支援団体をより積極的に説得し、日本の謝罪と基金参加を含む外交的解決を引き出す時間を稼ぐために、まずは差し迫った現金化を凍結する案を用意しなければならない。

 強制動員被害に対する全般的解決策は、被害者をはじめとする利害当事者との協議、韓日当局の外交協議、国会の立法手続きが必要であるため、時間がかかる。日本企業が被害者側との対話を拒否してきたのは、日本政府がそれを阻止してきたためだと思う。ひとまず現金化が凍結され、両国政府間の対話が進めば、日本企業も被害者と対話に乗り出し、問題が解決される可能性がある。現金化が進まないことを確認するまでは日本は動かないだろう。しかも安倍晋三元首相の死去で日本の政局が混沌に陥っており、岸田内閣は今、先に動ける状況にない」

-日本側が謝罪と基金への参加をすると思うか。

 「強制動員問題の根源はもちろん日本の植民地支配によるものだが、韓国最高裁の判決で再浮上した側面がある。

 14年間にわたる韓日国交正常化交渉の過程で、最大の問題は、日本の植民地支配をどう見るかをめぐる意見の相違だった。韓国側は当然、植民地支配は違法で不当だと見ており、日本は植民地支配が合法で正当だったと主張した。結局、それを双方が外交的に妥協した結果が、韓日基本条約第2条と韓日請求権協定だ。基本条約第2条は『植民支配(千九百十年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間に締結されたすべての条約及び協定)は、もはや無効』という矛盾した内容だが、韓国は『無効』を、日本は『もはや』を強調し、それぞれ異なる解釈の余地を残すいわゆる『異見合意』を通じて取り繕った。法的な問題を外交的に置き換えて妥協したわけだ。

 2018年の最高裁判決は、外交的妥協で取り繕ったパンドラ箱を再び開けた。日本は65年協定ですべて解決済みだと主張するが、韓国政府としては最高裁の判決を尊重せざるを得ない。結局、韓国と日本の立場を折衷する外交合意で解決するしかないが、その折衷点がどこなのかはまだ分からない。韓国政府は被害者と被害者支援団体、そして請求権協定の恩恵を受けた韓国企業の意見を積極的に取りまとめて日本と交渉する案を作り、それを持って日本と交渉して合意を導き、その内容を特別立法しなければならない。

 韓国政府は1970年代と2007年に強制動員被害者に補償措置を取ったが、最高裁の判決を受けた被害者たちはそのお金を受け取らず、日本と韓国でほぼ30年近く法廷闘争を繰り広げてきた方々だ。政府も補償に参加しなければならない。日本政府も手をこまねいていてはならない。基金を作り、被害者に第三者弁済をする枠組みを作れば、日本企業も結局参加し、謝罪もすると思う。三菱や新日鉄は世界的な企業だ。歴史問題に縛られて非難され続ける状態は、彼らにとっても負担だ。中国の被害者たちに謝罪と賠償をしたのに、韓国の被害者にそれができないわけがない」

-日本企業が、中国被害者には謝罪碑を建てたのに、韓国人の強制動員被害についてきちんと知らせるという軍艦島(端島)の世界文化遺産登録当時の国際社会との約束も守っていないことについて、どう見るべきか。

 「三菱マテリアルが最近、軍艦島に中国人強制動員について謝罪する友好碑を建てた。日本側は、中国人は戦争期間中に動員された一方、韓国人は植民地状態で『日本国民』として動員されたという違いがあると主張する。また、中国とは植民地ではなく戦争を行った関係だったため、戦争賠償問題があるとし、韓国とは異なると主張する。それは法的な論理であり、実際には中国も日本から公的開発援助(ODA)と技術支援を受けており、それが中国の経済発展に大きく役立った。結局、韓国は請求権資金を、中国は公的開発援助を受けたという形式の違いがあるだけだ。

 何より、韓国と中国の被害者たちは自分の意思に反して強制的に動員され、つらい労働をさせられたという点では同じだ。したがって、軍艦島のユネスコ世界文化遺産登録に関して日本に約束を履行させることは、韓国が粘り強く進めなければならない問題だ。日本は『韓国によって(問題解決の)ゴールポストが常に動かされる状況がある』と非難しているが、日本はゴールポストそのものを撤去している。強制動員の解決策をまとめる上でも、このような点を反映しようとする努力が必要だ」

-2015年の韓日政府間の日本軍「慰安婦」合意は破棄されず曖昧な状態で残っているが、この問題はどのように解決すべきか。

 「文在寅(ムン・ジェイン)政権が韓日日本軍『慰安婦』合意の核心である和解・癒やし財団を解散したが、合意を破棄せず形骸化させた状態だ。和解・癒やし財団には日本政府予算10億円が投入されたが、これは日本政府の法的責任を認めたものと解釈できる重要な要素だ。

 日本政府予算10億円のうちの一部は、慰安婦被害者46人のうち35人と遺族が受領した。残りの63億ウォン(約6億3700万円)と韓国政府がマッチングファンドで造成した100億ウォンを加えた約160億ウォン(約16億1700万円)が残っている。合意が破棄されたわけではないため、意味を生かして補完した方が望ましいと思う。

 重要なのはお金ではない。歴史を正しく知らせ、反省し、教訓にすることだ。20世紀の不幸な経験を21世紀に繰り返さないために、残った基金で日本軍慰安婦問題の歴史的事実を発掘して理論化する作業を行い、それを基盤に両国国民に正しい教育を行う協力事業を行うことが解決策だと思う。

 2015年の合意当時を振り返ってみると、韓日両国政府とも合意履行に対して責任ある姿勢を示さなかった。日本は『これ以上謝罪は必要ない』と主張し、少女像の撤去要求などで反対世論を刺激した。韓国政府も『不可逆的な合意』などに疑問を持った世論にきちんと説明し、説得しなかった。『韓日慰安婦合意』は外交懸案として問題を終結することであり、歴史と国際人権の問題として教訓を考え、二度と悲劇を繰り返さないための努力は続けなければならないという点を明確にすべきだった」

(2に続く)

パク・ミンヒ論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1052492.html韓国語原文入力:2022-07-2715:41
訳H.J

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