(2の続き)
-韓米日の協力については、3カ国の強調点が異なる同床異夢の状況だ。韓国の立場では韓米日協力の目標と範囲、原則をどのように決めるべきか。
「韓米日の利害関係が異なるため、各国の優先順位も異なる。韓国は朝鮮半島の平和と安定を最優先にし、中国の浮上に伴う戦略的バランスの破壊が起きないようにすることも考慮しなければならない。米国は中国との競争過程で、韓国と日本の協力を必要としている。日本は中国の浮上に対応し、北朝鮮の脅威の抑止にも活用することを目指している。韓国は韓国の目標を追求しながらも、米国と日本とも一定の線で協力し、それを通じて確保したテコを韓国の目標に活用しなければならない。米国、日本の言いなりになってはいけないが、現実的なギブアンドテイクも必要だ。互いに優先順位の異なる韓米日が最大公約数を見つけ出し、北東アジアで韓国独自の戦略空間を設けて、北朝鮮の核脅威に対応し、非核化を推進しながら、北朝鮮の変化を導く上で韓米日協力体制を活用しなければならない」
-結局、中国との関係をどうするかという問題に直面せざるを得ない。
「朴槿恵(パク・クネ)・文在寅(ムン・ジェイン)政権の9年間、韓国の対外政策で中国を過大評価した側面がある。もちろん中国は韓国輸出の25~30%を占める重要な市場であり、北朝鮮問題における役割も依然として重要だ。ところが、もう少し詳しく見ると、韓中の産業・技術格差が縮まり、一部の分野では中国が韓国を大きくリードするようになったことで、韓中の経済関係も変化した。北朝鮮問題で中国が韓国に協力したわけでもない。
韓国の対中国政策は、文在寅政権が2021年5月、米国のジョー・バイデン大統領と行った韓米首脳会談ですでに方向を転換した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とバイデン大統領の5月の首脳会談は、その方向を再確認し、もう少し進展させたものだ。韓国の対中国政策の方向が変わったことは、すでに中国も知っている。あまり中国を刺激する必要はない。全体的な方向を定め、具体的な行動を着実に行えばいい。
経済首席が『これからは中国の代わりに欧州市場に行く』と言ったのは、不要な発言だった。最近、経済と安保が融合し、経済が政治的に歪む現象が起きてはいるが、それでも大きな枠組みでビジネスは利益を見込んで進めるものだ。急に欧州市場で韓国に機会が生まれるわけでもない。韓中関係もきちんと管理しなければならない。韓中は永遠の隣人だ。落ち着いて方向転換する努力が必要だ。もう少し精巧に進めてほしい」
-韓国は台湾問題に対してどのような原則を持ってどの程度の役割を果たすべきか。
「台湾海峡で武力衝突事態が起きれば、朝鮮半島にも南侵が同時に起こる可能性があるため、大きな問題だ。中国が陽動作戦で北朝鮮を煽る可能性もあり、北朝鮮が朝鮮半島に空白が生じたことを機会と判断して動く恐れもある。2027年頃、中国が台湾を攻撃する可能性があるという見通しが現実となれば、北東アジアの核戦争に拡散する危険性が非常に高い。そのようなことが起きないよう、国際社会が中国に『台湾を武力攻撃すれば得るものより失うものの方が多い』と判断させなければならない。
台湾海峡の平和を維持しようとする米国や日本、NATO(北大西洋条約機構)などの多国間的な努力には、韓国も参加しなければならない。韓国もこの問題に対してもう少し早く関心を持つべきだったが、2021年の韓米首脳会談で初めて台湾問題に言及したことは遅まきながら幸いだ。台湾海峡の動向に関心を傾け、正しい状況判断ができるよう、関係国との対話と意思疎通を続けなければならない。ただし、韓国が韓中両国レベルで直接乗り出す必要はないと思う」
-韓国が「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に創立メンバーとして参加したのに続き、韓米日台の「チップ4」への参加の可否が大きなイシューになっている。
「チップ4は、米国は望むかもしれないが、韓国にとっては望ましくないと思う。韓国は半導体の60%を中国に売り、中国で工場も運営している。もちろん先端半導体技術と装備部品は米国が持っているし、韓米間の半導体協力は必要だ。しかし、台湾と日本まで入れて『チップ4』にするのは適切ではない。台湾は韓国と半導体生産において競争関係にあり、台湾が入ってくれば中国を過度に刺激することになる。韓国が米国にこのような話をしなければならない。
韓米同盟レベルで協力することには中国は何も言えない。しかし、台湾まで入れて半導体同盟を結成するのは、韓国にとって利益はあまりなく、損害だけが大きい。このような問題では、米国の言うとおりにするのではなく、我々が協力するから米国はこのようにしてはならないと説得しなければならない。韓国は経済安全保障を強調しているが、実際には十分な準備が整っていない。中国の尿素水輸出中断で韓国全体が大騒ぎになった。韓国が中国に大きく依存する品目は、レアアースや資源など1850種以上にのぼるという現実を考えなければならない。まずはそういった点に着実に備えつつ、慎重に進めていくべきだ」(了)