韓国政府は、今後の10年間で15万人の半導体人材を育成することにした。文在寅(ムン・ジェイン)政権での対策として「K-半導体戦略」が出されてからわずか1年ほどで、4倍を超える規模の人材育成案を出したのだ。今後、半導体産業が毎年6%成長するという見通しに頼った政策だが、過剰供給の懸念が出ている。
教育部は19日、産業通商資源部などの関係省庁と合同で、今年から2031年までに半導体分野の人材を15万人育成するという内容の「半導体関連人材育成案」を発表した。今後10年間で半導体産業が年平均6%増加し、半導体産業で必要となる人材が、現在の17万7000人から2031年には30万4000人に増えるはずだという韓国半導体産業協会の推算を根拠にした。
しかし、これに先立ち文在寅政権は昨年5月、同じく韓国半導体産業協会の資料を根拠に「K-半導体戦略」を発表し、10年間で3万6000人の人材を育成すると発表した。同じ協会資料を用いて政策を出したが、わずか1年で人材育成の規模が4.16倍に増大したことになる。
わずか1年で人材育成の規模が大幅に上昇したのは、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が、半導体協会の成長見通しを反映したためだ。これに先立ち、文在寅政権は協会の2019年の半導体人材の需要調査を実施した結果を反映し、人材育成案を発表したが、尹錫悦政権は10年間の需要予測値を反映した。韓国半導体協会の関係者は本紙の電話インタビューで、「2030年時点での国内の半導体産業の輸出と生産規模に対する見込みと、世界市場の増加スピード、世界市場シェアなどを反映すると、半導体産業の売り上げ増加率は年平均6.2%、産業人材の増加率は年平均5.6%という見通しが導きだされた」とし、「これに対して、少なくとも12万7000人が追加で必要だと判断した」と説明した。
一部からは、「半導体ブーム」によって人材育成目標が上がり下がりすることに対する懸念が出ている。湖西大学のキム・ハクス教授(技術経営専門大学院)は「基本的に、半導体産業の景気サイクルは波が大きい。市場の需要と供給、半導体産業が進む方向、分野別の人材需要などを正確に分析することで、非効率的な予算の執行などを防ぐことができる」とし、「半導体が主流であるかのように言われる流行にともなうアプローチは避けなければならない」と述べた。正義党の政策委員会は「もしかすると現実は不況であるかもしれないのに、政府案の数値だけがバラ色成長であることはあってはならない」とし、「学生個人には『政府を信じて大学に行ったが、将来が塞がれる瞬間』が迫ってくることが起こりうる」と述べた。
これについて産業通商資源部の関係者は「もちろん半導体産業にも波はあるが、今年まで(半導体産業は)大きく成長した。そのような条件を考慮した場合、年平均6.2%の成長率から大きくは外れはしないと判断した」と明らかにした。