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尹大統領「教育部の第一の義務は産業への人材供給…経済省庁と自覚すべき」

登録:2022-06-08 02:13 修正:2022-06-08 07:47
尹大統領、国務会議で半導体産業を強調中に発言 
「教育部が成長の足を引っ張らないよう大々的な改革」 
「産業化時代の教育観…教育の社会的機能を看過」批判
尹錫悦大統領が7日、龍山の大統領室庁舎の映像会議室で行われた国務会議で、半導体のフォトマスクを見ている。左はイ・ジョンホ科学技術情報通信部長官=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は7日の国務会議で「教育部の第一の義務は産業人材の供給」だとし、「教育部は自ら経済省庁だと考えるべき」だと述べた。教育部の役割は「産業用の人材の輩出」だと強調したもので、尹大統領の教育哲学の不在が確認されたとの批判が出ている。

 大統領室の幹部は7日午後、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で記者団に対し、午前に行われた国務会議で、尹大統領が半導体産業に関心を示しつつ、このように述べたと語った。この日の国務会議では、ソウル大学半導体研究所の元所長のイ・ジョンホ科学技術情報通信部長官が「半導体の理解および戦略的価値」というテーマで講演した。尹大統領はこの席で「半導体は(国家)安保上の戦略的価値を持っている。米国のジョー・バイデン大統領が先の韓米首脳会談の際、世界最大のファウンドリ(受託生産)施設である平沢(ピョンテク、サムスンキャンパス)を真っ先に訪問したのは、安保上の戦略的観点から米国は韓国を放棄できないということを世界に象徴的に示したものだ」と語ったという。

 尹大統領は続いて「核心は『ヒューマンキャピタル(人的資本)』だ。我々の成長と飛躍のためには、先端産業を引っ張っていく人材の養成が最も切実に求められている」とし、「教育部の改革と革新が必要だ。産業通商資源部、中小企業ベンチャー部、科学技術情報通信部などと協議し、以前の教育部とは異なる基準で仕事すべき」だと述べた。尹大統領はまた「産業の発展に必要な人材の供給が、教育部の第一の任務」だとし、「潜在的成長力の向上のためには人材の養成が最も重要だ。教育部が成長の足を引っ張らないようにするためには、大々的な改革を通じて科学技術人材を輩出しなければならない」と述べた。2日に尹大統領は「高卒人材採用エキスポ」に参加して「教育改革」を強調しているが、「産業人材の養成」を教育改革の最重要課題として設定したのだ。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「政治、社会、教育についての哲学の代わりに半導体人材の育成と実用主義ばかりを強調してきた中で飛び出した発言」だと批判した。

 教育界からも憂慮の声があがっている。「良い教師運動」のキム・ヨンシク共同代表は、この日の本紙の電話取材に対し「教育の目的を単に産業社会人材の養成とみなす視角であり、典型的な産業化時代の教育観」だと指摘した。キム代表は続けて「大統領のこのような認識は、今後の教育政策にも影響を与えうる」とし、「一例として、産業社会で価値が認められない人文学教育が弱体化するのではないかと心配だ」と語った。正義党のソン・ギョンウォン政策委員は「今後、半導体やソフトウェアなどの技術分野の人材を集中的に養成するとの考えだと解釈される」とし、「教育が持つ社会的な機能を考慮せずに、人的資源を供給する側面だけをみるのは適切ではない」と批判した。

 一方、この日の国務会議には、空席となっている教育部長官の代わりにチャン・サンユン次官が出席した。尹大統領は先に社会副首相兼教育部長官候補としてキム・インチョル氏を指名したが、キム氏は「家族全員フルブライト奨学金問題」などが浮かび上がったことで、指名から21日後の先月3日に辞退している。尹大統領は続いて、ソウル大学行政大学院教授のパク・スネ氏を新たに社会副首相兼教育部長官候補に指名したが、パク氏も免許取り消し基準をはるかに超える飲酒運転で摘発され、その後、宣告が猶予されていたという前歴が明らかになり、批判の中心に立たされている。パク氏は、論文をタイトルのみ変更して複数の学会誌に重複掲載したという「論文自己盗作」疑惑も持たれている。

キム・ミナ、キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1046091.html韓国語原文入力:2022-06-07 19:21
訳D.K

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