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イ・ソンス崇実大学教授が11日、崇実大学ヒョンナム工学館事務室で自動車向け半導体について説明している＝アン・テホ記者//ハンギョレ新聞社

　いくらお金があっても好きな時に新車を買えない時代だ。人気の車種は出庫までに1年半以上待たなければならない。自動車部品の需給問題のためだ。特に自動車向け半導体が主犯に名指しされる。2021年に始まった「半導体不足」が延々と続いている。

　11日、ソウル市銅雀区（トンジャクク）の崇実大学で会ったイ・ソンス教授（電子情報工学部）は、自動車向け半導体の需給難が2024年以後も続くと見通した。韓国電気電子学会の首席副会長を務めているイ教授は、12年前に自動車向け半導体の設計研究に参入したこの分野の専門家だ。彼は「自動車向け半導体メーカーが、新規投資をしたり、既存ラインを車載用に切り替える動きがない。需給難が直ちには解消されにくい状況」だと診断した。自動車需要が急減しない限り、需給難は今後も続くだろうという説明だ。

　自動車向け半導体は、自動車内部の部品と電子装備の頭脳の役割をする。2021年上半期から、寒波（米国）と火災（日本）によりNXP、インピニオン、ルネサスなどの工場で稼動が中断された。また、新型コロナの大流行でマレーシアの自動車向け半導体の後工程施設までが麻痺した。

　イ教授は「自動車向け半導体はNXPなど7社が80％を占める」として「在庫を置かないため、一度（生産が）中断されれば再稼働までに最短でも3カ月かかる。工場一つが止まれば直ちに供給不足が発生する」と説明した。さらに「過去に停止した工場が再稼働を始めたが、自動車の需要はそのまま維持されているため、納期遅れが解消されずにいる」と付け加えた。かつて4週間に過ぎなかったリードタイム（注文から製品を受け取るまでの時間）は、現在最大30週間と把握されている。

　半導体の品薄現象は、自動車向け半導体の価格を大きく引き上げた。2020年に約8ドルだった車載用マイクロコントローラー（MCU）は、2021年に50ドルに急上昇し、まだ下がらずにいる。価格が上がれば供給が増えるはずだが、この市場は例外だ。新規企業の参入の壁が高く、既存メーカーが生産量を増やすのも難しいためだ。

　自動車向け半導体は、寒さ・暑さ・衝撃などの極限状況でも15年以上持たなければならない。完成車メーカーが検証できない新規業者を敬遠するのはそのためだ。イ教授は、完成車メーカーが「新入りでない経歴職ばかりを望んでいる」と比喩して言った。既存の半導体メーカー側としても、責任は重い一方でお金にならない製品だ。交替周期が長く、生産数量も少ないからだ。メーカーも莫大な資金を投じて生産量を増やす理由がない。イ教授は「今のような好況を自分の足で蹴飛ばしはしないとみる」と話した。

　そのため半導体需給難は、今回解消されても繰り返され得る。イ教授は「需要と供給がぴったり合致する状況が続くだろう」としながら「もし特定の工場で問題が発生すれば、再び需給に困難が生じる可能性が大きい」と話した。だからこそ、自動車向け半導体は収益性でなく戦略的観点で見なければならないという話だ。イ教授は「かつては半導体の供給不足が発生したことはなかったが、今後は戦略的に育成する必要性が高まった」と話した。特に、電気自動車と自動運転車が増え、車両1台当たりに必要な半導体が2～3倍以上に増える見通しだ。

　韓国国内の自動車向け半導体メーカーの不足も解決課題だ。イ教授は「主要な半導体16種のうち、ビジョンセンサー、電力用など2種程度だけが韓国でうまく作られているが、残りは不毛の地」だとし、「最先端の自動車向け半導体は莫大な初期投資が必要だが、初期の売上は小さく、政府の強力な支援が必要だ」と話した。そして、毎回数億～数十億ウォンずつ投入される試作品の半導体製作費の支援、長期の低利金融支援、修士・博士級の設計人材の供給などを注文した。

　加えて韓国国内の完成車メーカーの責任も強調した。イ教授は「現代自動車など韓国国内の完成車メーカーが国産半導体を使って育ててこそ、今後の安定した供給が可能になる」と強調した。