韓国政府が今後10年間に半導体関連人材15万人を追加で育成するための案を発表した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が先月7日、「教育部の第一の義務は産業への人材供給」だとし、半導体人材の育成を注文してからわずか1カ月の出来事だ。パク・スネ教育部長官が就任して半月も経っていない。実務的な難題も一つや二つではなかったはずなのに、教育という名にふさわしい水準と価値について、このように短時間で慎重な議論と総合的な検討を行ったのか疑問を抱かせる。
19日の政府発表によると、2031年までに半導体関連の学科の定員拡大を通じて4万5000人を育成する計画だ。大学院1100人、一般大学2000人、短期大学1000人、職業系高校1600人、合わせて5700人の定員を増やす。これを受け、2031年までの半導体関連学科の累積卒業生は約45万7800人に達するという。残りの10万5000人は定員拡大ではなく、職業系高校や学士・修士・博士、在職者に対する再教育など財政支援事業を通じて確保する方針だ。
政府の目標値は、半導体産業協会が今年推算した10年間の国内半導体産業の追加人材需要(12万7000人)を反映している。昨年文在寅(ムン・ジェイン)政権が「K-半導体戦略」と共に出した3万6000人育成計画より4倍以上増えた規模だ。協会の推算値は、半導体産業が毎年5.6%ずつ成長することを仮定したものだという。半導体産業が好況と不況を繰り返すうえに、「チップ4((韓国・日本・米国・台湾の4カ国の半導体同盟)のようなグローバルブロック化の圧力が強まっていることなどを考慮すれば、楽観的過ぎる仮定だ。見通しを誤った場合、多くの学生が卒業後の未来が不透明になる。
政府は「大学設立と運営規定」上の規制を緩和し、大学が半導体関連学科の新設・増設をしやすくするという。一言でいうと、教育に必要な基準要件を緩和するということだが、ただでさえ不備が目立つと言われる韓国の大学の教育水準がさらに低下するのではないかと懸念される。首都圏の大学定員の総量を制限する首都圏整備計画法の改正は同日の発表に含まれなかったが、地域に関係なく定員を増やせるようにすれば、結局は非首都圏の大学が打撃を受けることになる。
半導体関連学科の定員を大幅に増やせば、人文学をはじめ多くの学科が存廃の危機に追い込まれる可能性が高い。教育は産業と無関係ではないが、尹大統領のように「韓国経済の基幹産業」という観点だけでアプローチすると、学問の退行を避けられない。教育を「百年の計」と呼ぶ理由を改めて考えてみるべきだ。