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「韓米日軍事同盟の基礎作り」提案する米日…尹政権には「試験台」となるか

登録:2022-03-31 04:31 修正:2022-03-31 09:24
「3国軍事演習提案」尹錫悦政権の対応は 
外交・安保を越えた「三角同盟」の布石 
北朝鮮、中国、ロシアの反発招き敵対の危険性高まる 
「韓国の立場、自ら崩しうる」 
 
「日本、対立構図に引き込もうと積極的」 
自衛隊との演習、韓国内への影響は不可避 
尹の過去の発言が話題に…引き継ぎ委は慎重
チョン・ウィヨン外交部長官(左から)、米国のトニー・ブリンケン国務長官、日本の林芳正外相が2月12日(現地時間)、ハワイのアジア太平洋安保研究所で開かれた韓米日外相会議を終え、共同記者会見を行っている/聯合ニュース

 米日両政府による「韓米日3国合同軍事演習提案」への対応問題が、政権交代期の韓国政府の難問として浮上している。「3国軍事演習」は、北朝鮮、中国、ロシアなどの北東アジア周辺国と韓国社会内部に、これまでの外交・安保協力をはるかに越え、「三角軍事同盟化」という長年の「越えてはならぬ一線」を消すための戦略的な基礎作りを韓米日3カ国が開始したとみなされる可能性があるからだ。

 実際に文在寅(ムン・ジェイン)政権が韓米日3国軍事演習は「受け入れられない」との方針を固守するのは、外交安保戦略次元の考慮とともに、国内政治への波紋に対する懸念が作用していると高位外交消息筋は述べる。

 まず外交安保の次元では、韓米日軍事演習の実行は北東アジアにおいて「韓米日」対「朝中ロ」の冷戦的敵対・確執を招く危険性が高いとの戦略的判断が下敷きとなっている。

 高位外交消息筋は「3国軍事演習を朝鮮半島の西海側で行えば中国が、東海側で行えばロシアが反発するだろう」とし「3国軍事演習は韓国を中ロとの軍事的対立に巻き込み、韓国の外交的立場を自ら崩す結果を招く危険性が高い」と述べた。別の外交消息筋が「韓米日3国協力は強化しなければならないだろうが、外交を越えて純軍事的性格にまで協力範囲を広げれば、問題の性格が今までとは質的に変わる」と指摘するのも理由は同じだ。

 2つ目に、韓国軍と日本の自衛隊の合同演習に対する韓国社会の「日帝強占36年」という歴史に根ざした強い拒否感も、政府の選択を制約する要因だ。外交消息筋は「自衛隊との合同演習は、外交安保的考慮だけでなく、国内の政治的波紋を念頭に置かなければならない、歴史的に非常に敏感な問題だ」と述べた。文在寅政権はもちろん、冷戦期を含めた韓国の歴代のどの政権も、朝鮮半島水域で自衛隊との合同軍事演習を行っていない理由がここにある。ただし人道的観点からの災害救助訓練は、済州島南方海域において韓国軍が米軍および自衛隊と共に行った例はある。高位外交消息筋は「災害救助訓練と純粋な軍事的性格の合同軍事演習は、北東アジア域内の地政学と情勢に及ぼす影響が全く異なる」と指摘した。

 高位外交消息筋は「米国よりも日本の方が3国軍事演習に積極的」だとし「日本は北朝鮮を口実として、米日の中ロとの対立・確執構図に韓国を引き込もうとしているようだ」と指摘した。

 文在寅政権の「任期中に韓米日3国合同軍事演習はない」(高位外交筋)との方針は固いが、問題は5月10日に発足する「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権」がどのような選択をするかだ。

 尹錫悦次期大統領は大統領選挙期間中、米国の外交安保専門誌「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿で「韓米日3国の安保協力の活性化」を強調している。さらに、大統領職引き継ぎ委員会の外交安保分科委員として、「日本が朝鮮半島有事に介入することが既成事実化されるのは平時の対北朝鮮抑止力を増大させる効果をもたらすだろう」という主張を含む論文を発表したキム・テヒョ元大統領府対外戦略企画官を抜擢している。尹次期大統領自らも2月25日の第2回法定テレビ討論で、「韓米日同盟があるからといって、(自衛隊が朝鮮半島に)有事の際に入ってくることもあり得るが、必ずそれを前提とする同盟は…」と述べ、論争を招いたことがある。これこそ、韓米日3国軍事演習に関し、「尹錫悦政権」が文在寅政権と異なる選択をする可能性があるという観測が出ている理由だ。

 ただし、引き継ぎ委の反応は比較的慎重だ。引き継ぎ委外交安保分科の関係者は「韓米日3国軍事演習は安保協力を越えて軍事協力の段階へと転換するものなので、慎重な検討が必要だ」と述べた。引き継ぎ委の別の関係者も「情報共有などの協力はできるだろうが、軍事演習は今後も容易ではない」と述べた。

イ・ジェフン先任記者、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1036897.html韓国語原文入力:2022-03-30 18:53
訳D.K

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